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希少な美濃柴犬の「一斗」…もっとやんちゃでも良いくらいのお利口さん

美濃柴犬の一斗くん
  • 美濃柴犬の一斗くん
  • 立ち姿も美しい美濃柴犬
  • 妹と2ショット(向かって左が一斗くん)
  • 「私が大切にしよう!」と思ったのが決め手だった
  • 足先と胸の十字の白毛も魅力の一つ
  • 光を浴びると鮮やかに輝く「緋赤色」
  • 遊びは大好きな一斗くん
  • 季節を感じる楽しさも一斗くんが教えてくれたという

大切な家族の一員として、生活を共にする動物たち。このコーナーでは、一般家庭で暮らす犬や猫たちを紹介しています。今回は、福岡県に住む「一斗(いっと)」くんです。現在、全国でも300頭弱しかいないと言われる、美濃柴犬*の飼い主さんにお話を聞きました。

その美しさにひかれて

----:なぜ美濃柴だったのですか?

もともと和犬が好きで、柴犬を探していました。そんな時に美濃柴がテレビで紹介されていて、その美しさにひかれ「この子だ!」と思ったんです。

立ち姿も美しい美濃柴犬立ち姿も美しい美濃柴犬

----:それがきっかけだったのですね。

美濃柴を飼っておられる方のSNSを見つけて、その日からは毎日見ていました。数ヶ月経って、美濃柴の展覧会が開かれることを知って東京から新幹線とバスを乗り継いで会場の岐阜県まで会いに行きました。

----:生で見たのはそれが最初ですか?

はい。いきなり80頭くらいの美濃柴に会って、「絶対、この子と暮らしたい」と思いました。

一番心配された子を我が子に

----:それから、すぐにお迎えしたのですか?

昔から犬と暮らしたいと思っていたので、色々と準備はしていました。でも、お迎えする前に「(住まいの)環境を整えなきゃ」とも思っていたんです。当時は東京に住んでいたので、地元の九州に帰ってからと考えていました。

----:一斗くんとの出会いは?

憧れの「権三」くんと「一二三(ひふみ)」ちゃんという美濃柴がいて、毎日SNSで見ていたんです。福岡に新生活のための家を購入して、東京に戻る途中でその“ふたり”に初めての子犬が産まれたことを知りました。

妹と2ショット(向かって左が一斗くん)妹と2ショット(向かって左が一斗くん)

仕事の関係で引っ越しは少し先でしたが、お迎えしたいとお願いすることにしました。東京生活の最後を愛犬と満喫しようと思い、決めました。

----:一斗くんは一人っ子だったのですか?

男の子と女の子2頭ずつ、4頭生まれて一斗が1番目でした。2度会いに行き、(オーナーさんと)相談して男の子にしました。どちらの子も可愛くて決めきれず悩んでいたところ、一斗は産声を上げず、オーナーさんが「一番心配した子」と言われ、「だったら私が大切にしよう」と思ったんです。

「私が大切にしよう!」と思ったのが決め手だった「私が大切にしよう!」と思ったのが決め手だった

----:一斗くんというお名前の由来は?

令和1年7月1日生まれだったので「一」を。それから、胸の十字の白毛から、十の字が入った「斗」で「一斗」に決めました。胸と足先にある、綺麗な白い毛もひかれたポイントでした。

足先と胸の十字の白毛も魅力の一つ足先と胸の十字の白毛も魅力の一つ

ボール遊びが好きなお利口さん

----:美濃柴の魅力は?

まず、この色です。「緋赤(ひあか)色」と呼びますが、他の和犬には無い色です。特に、日陰から陽の射すところに歩いていく時が最高ですね。光を受けるとパーッと輝くんです。日々、「本当にきれいな色だな~」って思います。

光を浴びると鮮やかに輝く「緋赤色」光を浴びると鮮やかに輝く「緋赤色」

----:深みがある独特の赤が本当にきれいですね。ところで、柴犬は気が強い子が多いですが…。

展覧会で100頭近く集まっても、ほとんど吠える声を聞かないくらい、基本的に美濃柴は穏やかです。一斗も、人や犬猫に吠えることもありませんし、要求吠えもしません。性格は、優しくて聞き分けの良い子ですね。ちょっとお利口さん過ぎるので、もっとやんちゃでも良いと思うくらいです。

----:遊びは好きですか?

ボールや枝を使った遊びが大好きです。大きさの違う4種類のボールやおもちゃを、リュックに背負ってお散歩に行きます。遊べる場所があれば、たくさん遊ばせます。投げたボールや拾った枝を、楽しそうに飛び跳ねながらせっせと私に運んできてくれます(笑)

遊びは大好きな一斗くん遊びは大好きな一斗くん

新しい道を拓いてくれた一斗

----:一斗くんが来て、飼い主さんの生活に変化はありましたか?

仕事優先で、休みの日は部屋から一歩も出ない超インドアな人間でした。どこに行くにもクルマだったし。それが、今は「どれだけ歩くんだ?」って友人に驚かれます。一斗と一緒ならどこまでも歩けますし、タクシーも電車も使わなくなりました。一斗が来て健康になったと思います。季節の変わり目には必ず風邪をひいていましたが、一斗が来てからは一度もひいてません(笑)

あと、今まで公園に行くことなんてなかったし、花や木から季節を感じることもありませんでした。今は、「これ、桜の木だ。春になるのが楽しみだね」と思うようにもなりました。近所でも、一斗が来てから歩くようになって知った道がたくさんありました。

季節を感じる楽しさも一斗くんが教えてくれたという季節を感じる楽しさも一斗くんが教えてくれたという

----:文字通り、一斗くんが新しい道を教えてくれたわけですね。

そうなんです。東京に住んでいた頃は仕事人間で、国内・海外問わず飛び回っていました。今は、散歩コースの上を飛ぶ飛行機を一斗と見上げながら「毎週、あれに何回も乗ってたんだよ」って話す毎日です。変わりましたね。

----:生活のほとんどが一斗くんのためですね。

子どもの頃からずっと犬と暮らしたかったんです。でも、私が十分(愛犬に)時間をかけられる状況になってから、と決めていました。仕事をセーブできるようになってお迎えしたからということもありますが、自分のための物や時間はいらなくなりました。生活とともに、何より“ぜいたく”の価値観が大きく変わりましたね。

「ストレスがなくて怖いくらい」の日々

----:当初は東京で生活し、その後、福岡に引っ越したわけですが、一斗くんも今の環境は気に入っていますか?

家の近所に公園がたくさんあるので、お散歩コースが何パターンもあります。「今日はこっちに行こうか?」という感じで、毎日、一斗も楽しんでいる様子です。東京で仲良くしていた友人たちとの別れは辛かったけど、たくさんの公園、山や川、海がある恵まれた環境なので、引っ越して良かったと思っています。

恵まれた環境で暮らす飼い主さんと一斗くん恵まれた環境で暮らす飼い主さんと一斗くん

----:たくさんの幸せを運んでくれた一斗くんですが、彼と話ができるとしたら、何と言いたいですか?

一斗が来てから私、「毎日たくさん笑ってるなぁ」と気がつきました。ストレスがなくて怖いくらいです(笑) 今までの中で、間違いなく今が一番幸せだと言えます。

「良い子過ぎなくて良いから、健康で天真爛漫に楽しくね。一斗の“犬生”を最優先でサポートしていくよ。毎日、たくさんの愛と幸せをありがとう」

今は愛犬第一の生活今は愛犬第一の生活

小学生の頃から犬と暮らすのが夢だったという飼い主さん。国内外の出張に飛び回っていた頃も、ペットシッターの資格を取ったり地元の九州で住まい探しをしたり、準備を進めてきたそうです。事業に区切りがついたのをきっかけに福岡に転居し、一斗くんと充実した豊かな時間を過ごしています。「この子が来てくれて、本当に幸せです」と語る笑顔からは、“我が子”に対する溢れんばかりの愛情が感じられました。

飼い主さんはドライブも好きで、愛車はアウディ『A4 アバント』。車齢は17年になりましたが、「買い替えるつもりはない」と言います。「物にも気持ちってあるんじゃないかと思います」と、動かなくなるまで付き合うと決めているとのことです。

愛車とは10年を超える付き合い愛車とは10年を超える付き合い

一斗くんの飼い主さん:プロスポーツのグッズ制作やプロデュース、プロモーションなどに携わる会社を経営。2匹の猫とも暮らす

* 美濃(みの)柴犬:北部の「飛騨地方」に対し岐阜県南部が「美濃地方」と呼ばれている。この地方原産の柴犬で、「緋赤色」とよばれる深くて鮮やかな赤い色が特徴。希少種で、現在、国内に300頭弱しかいないといわれる。
《石川徹》

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