アイペット損害保険は、犬・猫（以下、ペット）飼育者の1018名を対象に、ペットの支出に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
まずは2021年におけるペット関連の年間支出合計を尋ねたところ、犬飼育者は「5万円以上～10万円未満」が29.6％、猫飼育者は「5万円未満」が36.9％で最多となり、3年連続で犬飼育者の方が支出が多い結果となった。また、昨年と比較して増加が目立った金額帯は、犬飼育者では「20万円以上～30万円未満」（4.7ポイント）、猫飼育者では「10万円以上～20万円未満」（6.0ポイント）で、「10万円以上」という回答者の割合は4.3ポイント増加し、全体の約4割を占めた。
続いて、「2021年のペット関連支出は前年比どうなったか」を尋ねたところ、7割強の飼育者が「変わらない」と回答。一方で、「増えた」は犬飼育者が26.4％、猫飼育者が21.0％だった。
2021年のペット関連支出が前年と比べて「増えた」と回答した人に、「何にかける費用が一番増えたか」を尋ねたところ、犬・猫飼育者とも「病気やケガの診療費」が最多となった。昨年と比較すると、犬飼育者が7.9ポイント、猫飼育者が2.5ポイント増加しており、外出自粛やテレワーク普及などに伴い在宅時間が増えたことなどで、ペットの体調変化に気づきやすくなったことが要因の1つとして考えられる。
続いて、「どれくらい費用が増えたか」を尋ねたところ、犬・猫飼育者共に最多は「1万円以上～3万円未満」。また、「10万円以上」増加したペット飼育者の割合は、「増えた」と回答した方の中で20％を超えた。
さらに「増えた理由」を尋ねたところ、自由回答では「医療費などのペットの病気に関連した支出の増加」「フードの値上げ」「ペットの高齢化に伴う支出」などが挙がったほか、「在宅時間が増えたことで、以前よりペットを気に掛けることができる時間が増えたから」と回答した飼育者が33.2％にのぼった。その他、「外出自粛等の影響で支出が減り、ペットに充てることができるお金が増えたから」と回答した飼育者は17.2％だった。
「ペット関連支出の中で一番支出額が大きいと感じるものは何か」を尋ねたところ、犬・猫飼育者共通で、「病気やケガの診療費」「フード・おやつ」「ワクチン・健康診断などの予防費用」が上位に並んだ。昨年と比較すると、「フード・おやつ」において犬飼育者で8.9ポイント、猫飼育者では12.2ポイント増えており、犬・猫飼育者共に、支出額の中で大きな費用と感じているようだ。
一方、「病気やケガの診療費」は、昨年と比べ犬飼育者で7.9ポイント、猫飼育者で13.7ポイント減少。「病気やケガの診療費」はコロナ禍前最多だったが、コロナ禍以降「フード、おやつ」の支出が大きいと感じる飼育者が増加傾向にあるようだ。なお、同社獣医師による体脂肪率チェックを無料で実施するペット関連のイベントなどでも、「ペットのコロナ太り」や「おやつのあげすぎ」などに加え、「フード」に関する相談が増えており、ペットと過ごす時間が増えたことで、よりペットの健康や嗜好に適したフードを意識する飼育者が増えている様子もうかがえる。
また、「2022年のペット関連支出の予測」について尋ねたところ、犬飼育者の32.9％、猫飼育者の22.5％が「増えそう」と回答しており、全体の7割弱が「変わらなそう」と回答した。
2022年のペット関連支出の予測で「増えそう」と回答した人を対象に、「2022年のペット関連支出で増えそうなものは何か」を尋ねたところ、犬飼育者・猫飼育者共「病気やケガの診療費」が最多となった。次には「ワクチン・健康診断などの予防費用」「フード、おやつ購入費」が続き、前述の「一番支出額で大きいと感じる費用」と同じ項目が並んだ。
また、これらを選んだ理由としては、自由回答で「ペットの高齢化に伴う診療費増加」などが要因と考えられる回答が多く挙げられ、昨今の情勢から「物価の高騰」などを心配する声もあった。
続いて「ペット関連の合計支出の年間理想額」について尋ねたところ、犬飼育者は「5万円以上～10万円未満」、猫飼育者は「5万円未満」が最多となった。なお、前述の「2021年のペット関連合計支出（年間）」の回答でも、犬・猫飼育者共に同様の最多ゾーンとなっており、2021年のペット関連年間支出は、3人に1人が理想に近い支出額だったという見方もできるのではないかとしている。
コロナ禍で新たなニーズが生まれ、新しいペット関連サービスも誕生している。そこで、「今後、試してみたい支出項目（サービス）」について尋ねたところ、「オンラインによるペットの健康診断、相談」「オンラインでのペット関連用品購入」が、犬・猫飼育者共通で上位に挙がった。
新型コロナウイルス感染拡大が続く中、外出自粛や在宅時間増加に伴い、オンライン上でのサービスにこれまで以上に関心が高まっているようだ。その他、犬飼育者では、「ペットと泊まれるホテルへの宿泊」、猫飼育者では、「ペット家電（スマートトイレ、首輪型IoTデバイスなど）」などが次点に挙がり、コロナ禍における旅行への新しいニーズや、自宅でペットと過ごす時間が増えたことに伴う、室内で使うペット用品への興味・関心の高さを感じる結果だった。
今回の調査では、昨年と比べ年間支出の合計額の割合に大きな変化は見られなかったものの、その内訳については、「病気やケガの診療費」の割合が増加するなどの傾向が見られた。今後増えそうな支出でも「病気やケガの診療費」「ワクチン・健康診断などの予防費用」が上位にきており、長引くコロナ禍によって生活スタイルが変化し、ペットと向き合う時間が増えたことで、ペットの体調や健康状態に目を向ける方が増えていることがうかがえる。また、年間支出の合計額が10万円以上という回答者の割合も増加しており、ペットの健康に関連する支出の増加は、今後もペット飼育者にとって、懸念事項の1つとなることが予想される。
■調査概要
調査対象：全国の犬・猫飼育者
調査人数：1018名
調査期間：22年3月15日～23日
調査方法：インターネットにおけるアンケートを実施
