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災害が起こった時、ペットはどうすればいいの?vol.1…備えあれば憂いなし

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新型コロナウイルス感染症の流行が世界中で続く中、海外では飼い主の入院でペットが取り残されるケースが報じられている(参考記事)。新型コロナで「もしも」の時のための準備については、REANIMALでもたびたびお知らせしてきた(参考記事)。

今回は、地震や台風などの災害時、大切な家族であるペットを守るためのポイントについて2回にわたって紹介する。

同行避難の原則

災害時には、飼い主がペットと「同行避難」するというのが環境省の基本姿勢であり、それを前提とした対策を都道府県や市町村が整備する義務を負っている。これは、「動物の愛護及び管理に関する法律(通称、動物愛護法)」にも定められている。

「第六条 都道府県は(中略)動物の愛護及び管理に関する施策を推進するための計画(以下「動物愛護管理推進計画」という。)を定めなければならない。
2 動物愛護管理計画には、次の事項を定めるものとする。
(中略)
三 災害時における動物の適正な飼養及び保管を図るための施策に関する事項
(以下略)」

したがって、地震や台風など大規模な災害によって避難を余儀なくされた場合、基本的に飼い主はペットを連れて自治体の定める場所に移動する。これは大切な家族である動物を守る目的とともに、迷子になったペットが事故などで復旧作業を妨げたり、興奮して人を咬んだりといったトラブル防止の意味合いもある。

また、「同行避難」は、ペットと一緒に避難行動をとることを意味する。自治体や場所ごとにルールや仕組みが異なるため、避難場所においてペットを同室で飼育管理できるかどうかはケースバイケースだということも、飼い主は認識しておく必要がある。なお、盲導犬や介助犬など補助犬の場合は、「身体障害者補助犬法」が避難所への入室を拒んではならないと定めている。

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備えあれば憂いなし:準備の大切さ

地震はある日突然やってくるもの。自宅からの避難が必要となる程の被害をいつ受けるか、基本的に誰にも分からない。また近年では、非常に強い台風やゲリラ豪雨などによる災害も増える傾向にあり、平常時に充分な準備をしておくことが大切である。

■平常時の事前準備1:住まいの防災対策
災害時にペットを守るためには、まず飼い主が無事である必要がある。地震が発生した際、人間がけがを負わないように家具や倒れやすい大型の電化製品などを固定し、転倒防止対策を講じておくことが大切である。その上で、ケージやベッド、水槽など、ペットが普段過ごす場所に家具の転倒や物の落下といった危険が無いよう、定期的に確認しておくのが安心だ。

屋外飼育の場合には、ブロック塀など倒れやすい物のそばやガラス窓の下を避けて係留することをお勧めする。また、災害発生時に驚いて逃げ出さないよう、首輪の緩み、ケージや柵などのすき間をチェックしておくことも必要な作業だ。

■平常時の事前準備2:家族のルール作り
家族全員で、以下の点について取り決めておく:
・家族間の連絡方法と集合場所(仕事や外出などで災害発生時に不在の場合)
・非常持ち出し袋の中身と保管場所(ペット用備品については後述)
・留守中に災害が起こった場合の対処法(一番近くにいる家族や近隣の親戚がペットを迎えに行くなど)
・やむを得ない場合に預ける人・場所の確保(友人、親戚、動物病院、ペットホテルなど。条件・期間・費用などを予め確認しておく)

■平常時の事前準備3:飼い主情報の表示
東日本大震災では、地震発生時に犬や猫がパニックになり、開いたドアのすき間などから外に出て迷子になるケースがあった。また、避難の途中でペットとはぐれる場合も考えられる。そうした場合に備え、探す場合や保護された時に識別しやすい情報を身につけておくことも重要である。

飼い主の連絡先などを記入した迷子札や鑑札と狂犬病予防注射票を、外から見やすい場所につけておくのが安心だ(なお、犬の場合は「狂犬病予防法」に基づいて鑑札と狂犬病予防注射票を愛犬に装着することが義務づけられている)。また、首輪や足環(鳥などの場合)、マイクロチップの装着も迷子の場合には役に立つ。

2021年より新たに販売される犬と猫には装着が義務付けられるマイクロチップは、注射器状の機材を使用して獣医師がペットの皮下に挿入する。飼い主がペットを迎えた後、自身の名前や住所などの情報を日本獣医師会のデータベースに登録。迷子になった場合には、動物病院等で専用の機械をかざし、記録されている15桁の数字を読み取ることで飼い主の情報が確認できる仕組みだ。

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■平常時の事前準備4:避難用品の備蓄
避難所では、ペットに必要な物品の確保は飼い主の責任とされる。したがって、以下のアイテムを最低5日分、できれば1週間分以上用意しておくことが望ましい。東日本大震災の直後は、ペット用の救援物資運搬車両が緊急車両と認められず、物資が届くのに時間がかかったとの報告がある。
・フード、水、食器
・常備薬(必要な場合)
・トイレシート/トイレ砂(猫の場合)、トイレットペーパー
・ゴミ袋:使用済みのトイレシートや排泄物の処理用
・ブラシ、タオルなどのお手入れ用品
・おもちゃ
・予備の首輪/ハーネスとリード(伸びないもの)
・「飼育手帳」:連絡先、ペットの写真、ワクチン接種歴、健康状態、かかりつけの獣医師などペットの情報をまとめた物

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普段はあまり意識することがなかったり、先送りにしたりしがちな災害時の準備。新型コロナウイルスもまだ心配な状況ではあるが、そんな時だからこそ、「もしも」に備えた対策を立てておくのはどうだろうか。次回は、災害時に備えたトレーニングや地域での交流、避難所での生活における配慮などについて紹介する。

《石川徹》

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