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【犬がなりやすい病気】胃拡張胃捻転症候群…場合によっては数時間で死に至る

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どんな病気?

胃の拡張と胃腸間膜における胃のねじれに起因する急性疾患で、胃や周囲の血流が遮断されるため、場合によっては数時間で死に至る恐ろしい疾患だ。グレート・デーン、ボクサー、ジャーマン・シェパード、セント・バーナード、ドーベルマンなどの大型犬や超大型犬で、胸が深い犬種に多く発生する病気だが、まれに小型犬や猫でも発症することがある。

原因ははっきりとは分かっていないが、水や食物を取った後の胃の活動性の活発化や幽門から腸へ流れるはずの胃の内容物の流出障害や、大量の空気の嚥下が考えられている。危険因子は、1日1回の大量の食事、早食い、一気食い、食後の激しい運動、高齢、ストレスが挙げられる。

症状は発症後すぐに認められて、嘔吐は伴わない吐き気(口をクチャクチャさせたり、ヨダレを垂らすような吐きそうな様子を見せるが吐けない)が特徴的で、腹痛、腹囲膨満がはじめに見られて、進行してくると呼吸困難やショック状態に陥る。一刻を争う疾患なので、このような症状が見られたらすぐ病院に行って欲しい。

かかってしまったら?

症状から胃捻転が疑われる場合はレントゲン撮影により診断される。胃拡張胃捻転症候群には2種類の型がある。一つは胃拡張のみのもの、もう一つは胃捻転を伴うもので後者が圧倒的に多い。一般的には胃拡張が起こった後に胃捻転が起こると考えられている。捻転する方向は犬を仰向けにしてみた場合時計回りに90 度~360度回転する。それに伴い、十二指腸は体の中心より左側に変異し、腹部を横断するとともに、脾臓も腹部を横断するように右に変異する。

このような変異がレントゲンにより確認されたら、まずは胃のガスを抜く処置を行う。口から胃の中にチューブが入る場合は胃からガスを抜きつつ胃洗浄も同時に行い、胃の内容物も出してしまった方がいいがチューブが入らない場合は経皮的に胃穿刺を行ってガスを抜く。不整脈が見られている場合は抗不整脈薬の投薬と循環血液量維持のための静脈点滴を行い次第、即手術を行うべきである。なぜなら捻転から時間が経てば経つほど胃の拡張によって、門脈や後大静脈が圧迫され、後躯からの血流が少なくなり、腹部臓器に血液が鬱滞し、胃自体が壊死したり、脾臓が腫大、壊死するからだ。

また、鬱滞により循環不全に陥って血液粘稠度が亢進し、播種性血管内凝固が引き起こされることもある。そうなると手術で捻転を整復しても予後不良に。また、循環血液量減少のため心拍出量の低下や血圧の低下が起こり、各種臓器への組織還流量の減少と低酸素状態に陥る。特に心臓が低酸素や虚血状態に陥ると致命的で不整脈が起こることがあり、致死性である。

発見して手術に持ち込むことができたとしても、播種性血管内凝固が起こり始めていたり、胃自体の壊死が激しかったり、麻酔中に血圧低下や不整脈によってなくなってしまうことも多いので手術の手技で助かるかどうかが決まる訳ではなく、手術を始めた時の犬の状態によって生死が決まってくる。そのためにも症状に早く気付いて、様子を見ずに病院に行くことが大切。術後も不整脈が出たり、再還流障害が出ることがあるので油断ができない病気ではあるが、術後3日間生存し再発が起こらなければ予後が良い病気だ。

予防法は?

特に大型犬は、食事を一気食いさせないことである。食い意地が張っていて食事をあげるとがっついてしまう大型犬は多いので、空腹の時間を減らすためにこまめに食事をあげたり、ゴングなどにフードを入れて一度に食べられ無いように工夫するのが良い。

また、食後の運動も発症に大きく関与しているので、食後はゲージの中で1時間ほど休ませることや、散歩は食後に連れて行かないようにするなどの工夫が必要である。夜ご飯後に散歩に行ってから、様子がおかしい、腹が張ってきたと言って夜間救急病院に来る症例も多いので夜に異変が起こった時も朝まで様子を見ることはしないで欲しい。

《M.M》

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