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水害後は衛生面に注意…ペットも人も感染症の予防を

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九州など日本の各地で、豪雨による河川の氾濫や土砂崩れといった災害が発生している。これ以上被害が拡大しないことを祈るとともに、「災害が起こった時、ペットはどうすればいいの?」なども参照の上、もしもの場合の安全な「同行避難」に備えたい。また特に水害の後は、ペットにも衛生面に注意した生活をおすすめする。

水害直後に注意したいこと

水が引いた後、生活圏にはごみやがれきとともに、細菌なども運ばれてくることが考えられる。犬や猫のワクチンに関する情報の中で紹介したように(参考記事)、ネズミなどの野生哺乳動物の尿からはレプトスピラと呼ばれる細菌が排出される。これに汚染された土壌や水を介して、レプトスピラ症に感染するリスクが考えられる。

通常は、散歩コースや公園など愛犬の生活圏で感染する可能性は低いと考えられる。だが、水害直後は念のため汚水や汚泥などを避けて散歩したり、漂着物などに近づかせないようにしたりするなど、感染防止に注意を払うのが安心と言える。

レプトスピラ感染症:リスクは低いが重篤化の可能性も

レプトスピラ感染症は熱帯や亜熱帯地方に多い病気で、犬の場合、日本では西日本地域で感染例が報告されている一方、甲信越・東北地方ではあまり発生していない。関東でもごく少数で、例えば神奈川県では過去10年で3件が報告されているのみとのことで、過剰に心配する必要はない。

予防についても、世界小動物獣医師会が作成した犬・猫向けのワクチンガイドラインでは、接種が必須ではない「ノンコアワクチン」に分類されている。したがって、リスクに基づいたワクチン接種の選択が推奨されている。例えばネズミ、ウシ、ウマ、ブタなどの動物が多い地域にキャンプや川遊びのために出かける機会が多い場合は接種しておいた方が安心だが、都会での生活がほとんどのケースでは予防しない、などといった選択がある。

なお、国立感染症研究所によれば、犬の感染初期症状としては、発熱、食欲不振、嘔吐、脱水などが見られるとのことである。重症化すると腎臓や肝臓の機能不全に発展することもあるため、万が一発症した場合には早期の治療が重要だ。

ワクチンは獣医師とよく相談して

レプトスピラは250を超える種類の多い病原菌で、犬に関しても7種類が国の家畜伝染病予防法の届出伝染病に指定されている。しかし、どの地域でどの型が流行しているかの情報が不足している。また2016年に国立感染症研究所が行った調査によると、それまで主流と考えられていた2種類(「カニコーラ(Canicola)」および「イクテロヘモラジー(Icterohaemorrhagiae)」)以外の型による発症が多かったという報告がある。

現在、日本で一般的な犬用の混合ワクチンでは、7種と8種の場合に「カニコーラ(Canicola)」と「イクテロヘモラジー(Icterohaemorrhagiae)」というレプストピラ菌に対応するワクチンが含まれている。9種になると、これに「ヘブドマディス(Hebdomadis)」が、さらに11種では「オータムナリス(Autumnalis)」と「オーストラリス(Australis)」にも対応する。

ワクチンは予防する菌やウイルスとワクチンの型が一致しなければ効果はない。11種混合ワクチンを接種すれば、その他の病気に加えて5種類のレプトスピラ感染症も予防できることになるが、ワクチンには副作用のリスクもある。また、接種後に免疫が持続する期間も様々であるため、かかりつけの獣医師とよく相談の上、ワクチンを打つかどうかも含めて最も安全で効果的と考えられる選択をするのがよいだろう。

人間への影響

なお、汚染された汚泥や水を介して人間もレプトスピラ症にかかる可能性がある。2011年には台風による大雨の後、三重県の農地における感染が報告されており、国立感染症研究所は「日本国内では稀な疾患であるとされているが、大雨等が生じた際、(人間の)感染症の可能性としてレプトスピラ症も考慮に入れる必要があると考えられる」としている。

人間の場合は無症状だったり、軽い発熱や頭痛、喉の痛み、吐き気など軽症で済んだりすることが多いそうだ。しかしながら、犬と同様に腎臓障害などで重篤化するケースもあるそうなので、水害復旧作業の際はマスクを着用したり、キズのある部分は肌の露出を避けたりするなど細菌感染防止に注意したい。

いずれにしても、過剰に心配する必要はないと考えられるが、水害直後の散歩や遊びの際には、できるだけ清潔な場所を選ぶなどの配慮をするのが安心と言える。

《石川徹》

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