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【命の商品化を考える vol.4】速報:具体的な飼育管理基準案を環境省が発表…動物福祉の向上につながるか?

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  • 環境省主催の「検討会」
  • 佐藤ゆかり環境副大臣
  • 犬・猫の飼育スペース基準案
  • 犬の飼育スペースイメージ
  • 猫の飼育スペースイメージ
  • 今後のスケジュール

「動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年6月19日法律第39号)」(以下、改正愛護法)が昨年成立し、1年の猶予を経て今年から段階的に施行が始まった。

REANIMALで報じたように、6月1日からペットなど愛護動物の殺傷・虐待・遺棄が厳罰化された(命の商品化を考える vol.2)。来年6月には、出生後8週を経過しない犬・猫の販売を禁止する「8週齢規制」が施行される(*一部の例外あり)。

環境省が飼養管理基準案を提示

この8週齢規制と同時に施行される「飼養(= 飼育)管理基準」の策定に、今、注目が集まっている。特に繁殖施設や販売現場における犬・猫の生活スペースのサイズに様々な議論がある(命の商品化を考える vol.3)。

そんな中、「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会(第6回)」が本日(7月10日)開催され、この飼養管理基準の具体案が環境省から示された。ここでは速報として、その提案の主なポイントを紹介する。

環境省主催の「検討会」

悪質な動物取扱業者を排除することを目的に、各自治体がチェックしやすい基準を動物愛護の観点から取りまとめた提案とのことである。特に「閉じ込め型の飼養を防ぐ」ことを重視した、とのコメントが自然環境局の鳥居敏男局長からあったことは印象深い。

ケージサイズ:犬の場合

議論の中心となっているケージのサイズについては、運動スペースを設けることが、まず前提となっている。そして、寝床(休憩場所)が運動場と分かれている場合と、一体化しているケースごとに提案がなされた。「運動スペース分離型」では、ケージは長さが体長(胸からお尻までの長さ)の2倍、幅が体長の1.5倍、高さは体高の2倍とされている。

このサイズであれば、身体の向きを変えたり、後肢で立ち上がるといった日常動作も自然にできそうだ。

犬・猫の飼育スペース基準案

一方、「運動スペース一体型」の場合、分離型で示されたケージの床面積の6倍のスペースに2頭までを収容し、3頭以上の場合は1頭ごとに面積を50%追加することとなっている。環境省の試算では、体長30センチの場合、縦180センチ・横90センチと、たたみ一畳分ほどのスペースとなる。

なお分離型の場合は、最低限このサイズの空間を確保し、毎日3時間以上ケージからこの運動スペースに出すことを義務付けるというのが現在の提案である。

犬の飼育スペースイメージ

ケージサイズ:猫の場合

分離型においては、犬と同じ計算で床面積を確保することで自然な動きを可能にするだけでなく、猫の習性に配慮してケージの高さを体高の3倍とし、さらに棚を設けて2段(2階)以上の構造とすることを求めている。運動スペースは、ケージの床面積の2倍、高さを体高の4倍とし、2つ以上の柵を設けて3段構造としている。犬の場合と同様に、一体型の場合は2頭までの飼育とし、3頭目以降は床面積を追加することになっている。

猫の飼育スペースイメージ

なお、犬猫ともに、肉球が傷まないようケージの床は金網の使用を禁止することが検討されているそうだ。

その他の基準案

従業員数に関しては、繁殖業者の場合、一人あたり犬は15頭、猫は25頭。販売業者においては犬20頭、猫30頭が基準とされた。そのうえで、優良な事業者に対しては上限数の緩和を認める一方、課題のある業者にはより厳しい(少ない)上限を検討するなど、柔軟な対応が提案された。

そのほか、自然光や照明による通常の日照サイクル確保、寒さや暑さで体調を崩すことの無い様な温度・湿度の適切な管理、獣医師による年1回の健康診断、猫カフェなどにおける6時間ごとの休憩などの義務付けも提案された。また、過剰な毛玉や被毛に固着した糞尿等を放置することの禁止や、爪の定期的な手入れなどにも言及されている。

さらに「人とのふれあいの実施(散歩や遊具を用いた活動等)を義務付け」るなど、犬や猫の動物としての特性や繁殖犬・繁殖猫を引退した後の生活面にも配慮していたのは注目に値するのではないだろうか。

交配に関しては、犬猫ともに6歳までを原則とするとしている。ただし、母体の健康に配慮し出産の間隔を長くとる優良なブリーダーもいる。その様なケースでは、満7歳時点で出産回数が6回に満たない犬は7歳での交配を可能とすべきだとの意見だった。発情頻度の多い猫の場合は、10回未満の場合に限り出産年齢上限を7歳に引き上げるというのが現状の提案であった。

今後の予定

こうした環境省の提案に関しては、獣医学や法律などの専門家7名で構成される委員からさまざまな意見が寄せられた。今後はそのフィードバックを基に、環境省の自然環境局が基準案の修正を行う。秋には同省の「中央環境審議会・動物愛護部会」で審議が行われ、1か月のパブリックコメントを経て年内に答申から交付手続きというスケジュールになっている。

今後のスケジュール

一部では動物の幸せよりも業界寄りの基準になるのではないかとの意見も聞かれたが、基本的には犬と猫の福祉向上という視点に立った提案であると感じられた。もちろん、理想として「もっと!」という思いはあるが、現在、劣悪な環境で飼育されている動物たちを救う確実な一歩にはなりそうな印象である。

年末に向けて、より動物たちに寄り添った基準となるか、REANIMALでは今後も取材を続けていく。

《石川徹》

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