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【命の商品化を考える vol.6】具体的な飼育管理基準案について…日常動作が可能なケージと閉じ込め飼育の防止

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  • 白いテープで仕切った絨毯部分が180×90cm
  • 一般的と思われるケージ(約95×65cm)
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7月10日に開催された第6回「動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会」において、環境省が最初に提案した「飼養管理基準」案は、特に繁殖業者における犬・猫の飼育スペースに関するものであった。

運動の義務化で閉じ込め型の飼養を防ぐ

前回紹介した通り(命の商品化を考える vol.5)、この管理基準における最大のポイントは「閉じ込め型の飼養を防ぐ」ところにある。2つのパターンでの基準案が示されたが、共通するのは運動の義務化である。運動スペースの確保と常時使用可能な管理、および1日あたり最低3時間の運動をさせることが求められる。ペットホテルや動物病院など一時的な保管を除き、ケージ内でのみの飼養は禁止される。

自然な動作が可能なケージサイズ

寝床・休憩場所と運動スペースを分離して設置する「分離型」の場合、休憩場所となるケージは日常動作としての方向転換が自然にできる広さと、犬の場合は後肢で立ち上がることが可能な、猫の場合は上下運動が可能な高さの確保が必須とされている。具体的には、犬の場合、長さは体長の2倍、幅は体長の1.5倍、高さは体高の2倍。猫の場合は、面積は犬と同様だが、高さを体高の3倍とし、さらに棚を設けて2階建て構造とすることを義務付けている。

たたみ一畳分の運動スペース

この分離型の場合、運動スペースは犬の場合ケージの床面積の6倍に2頭までとなっている。トイプードルやチワワなどの(超)小型犬種をイメージすると、例えば体長が30センチの場合、運動場は長さが180cm、幅が90cmとなり、およそ一畳分の計算である。同じスペースを3頭以上が同時に使用する場合は、1頭ごとにケージ面積の3倍を追加するとなっている。

参考までに、この大きさのスペースにトイプードル(体長約30cm・体重約2.5kg)を2頭入れたのが以下の写真(白いテープで区分けした絨毯スペースが180×90cm)。また、家庭で比較的よく使用されていると思われる市販のケージ(95×65cm)にクレート、食器、トイレシートをセットした状態がその下の写真である。

白いテープで仕切った絨毯部分が180×90cm

一般的と思われるケージ(約95×65cm)

猫の場合は、広さがケージの床面積の2倍と犬に比べて狭くはなるが、その習性を考慮して高さを体高の4倍とし3段以上の構造とすることを義務付けている。また、3頭以上の場合は、一頭あたりの床面積を追加するとしている。

課題は運用ルールと「一体型」での多頭飼育

委員からは、慎重な運用規定作りを求める意見が出された。「とにかく出せばいい」といった形になったり、炎天下など悪天候時や動物が好まないタイミングで強制されたりといったことを避け、真に動物の福祉に寄与するルールが必要、とのことである。これは、解説書作成における今後の課題と言えそうだ。

なお、運動スペースと寝床・休憩場所が一体となった「一体型」の広さについては、「分離型」の運動スペースサイズに準ずるとしている。犬の場合、高さは体高の2倍とされているため、清掃時の作業性や人との触れ合いをどうするかについての検討が必要であるとの意見も出された。囲いについては、全ての面を柵構造でなく、一部を壁とすることで落ち着いて休息できる環境づくりに配慮して欲しいとの提言もあった。

また、一部マスコミや議員からは、同一スペースで2頭を飼育することについて、広さや個体同士の相性面に関する異論があるようだ。この点については、科学的に明確な正解はなく感覚的な議論になると思われるが、運動スペースの運用方法と合わせ、環境省からどのような対策が提案されるかに注目したい。

肉球の損傷を防ぐ床素材

床の素材に関しては、肉球の損傷を防止するため金網を使用することを禁止する。現在、金網の上に布やトレーを置いて肉球が傷まないような管理がされているケースもあるため、そうした例外については精査して具体的な基準を作成するとのことである。

今後に向けて

このように細かな部分での運用ルール作りや1頭あたりの運動場サイズなど精査すべき課題はあるが、かなり具体的な基準案が提示された印象を持った。昨年の愛護法改正およびこの省令の作成においては、まず劣悪な環境で犬・猫を飼育する悪質な業者の排除が一番の目的とされている。その意味では、好ましい方向に進んでいるのではないだろうか。年内に予定される答申に向け、今後の議論には引き続き注目したい。

次回は、今回の環境省案に対して意見の多いもう一つのポイントである、動物のケアを行う従業員の数に関する管理基準について紹介する。

《石川徹》

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