本連載では、令和元年11月に生まれた筆者の長女と4才の保護猫の暮らしを綴っています。今回は猫が初めて引っ越しを経験したときのエピソードです。突然空っぽになってしまった家を見た猫は…!?
増えていく段ボールを楽しむ猫
娘が生後5か月を迎えた頃、引っ越しが決まりました。娘はもちろん、猫にとっても初めての引っ越しです。
引っ越し業者が荷詰め用に大小50枚ほどの段ボールを持ってくると、段ボールが大好きな猫は大興奮! 束ねた段ボールの束で爪を研いでみたり、組み立てた段ボールにすばやく入って独り占めしてみたりと満喫していました。
片手で娘を抱え、もう片方の手で隙あらば段ボールに入ろうとする猫を払って荷詰めを進める日々。甘え盛りの子どもを抱えての荷詰めは、思った以上に手がかかるものでした。思うように進まない引っ越し準備に私が苛立つ日もありましたが、おかげで家の変化も緩やかだったため、環境の変化に敏感な猫にとってもストレスがなく過ごせていたように思います。
空っぽになった家に猫は…
いよいよ迎えた引っ越し当日。荷物の運び出しに伴い玄関を開けっ放しにするため、猫の脱走が気がかりでした。移動用の狭いケージに長時間入れておくのは現実的ではなかったため、猫には運び出しが終わるまで水・ごはん・猫トイレの3点セットと一緒に締めきった洗面所で待っていてもらうことに。
引っ越し業者のスムーズな作業のおかげで、小一時間で部屋はすっからかんの状態になりました。満を持して猫を解放すると、洗面所から出るなり変わり果てた部屋の様子にびっくり仰天! 目を真ん丸にしてあたりを何度も見まわし、混乱を抑えきれずに空っぽになった家を猛スピードで走り回りました。
新しいお家に行こうね、と猫バッグに入れようとすると、猫は私の抱っこを嫌がった挙句ついに部屋の隅で嘔吐。わが家の猫は吐き癖がなく嘔吐することに慣れていないため、一度の嘔吐が胃腸炎の引き金になってしまうことが多々ありました。猫をなだめながら旧宅を後にした私です。
混乱した猫を前に、結局どうするのが正解だったのか今でも分かりませんが、引っ越しに伴う心配事はそれだけではありません。先住猫としてではなく“赤ちゃんと同時に”スタートする新居での生活。新生活に猫がスムーズに馴染めるかどうか、ドキドキと同時に不安もありました。
次回は、新居に猫が馴染むまでのエピソードをお話しします。
こさい たろ:フォトグラファー
2年前に、猫と一緒にお嫁入りしました。現在、夫と猫と娘(0才)の3人&1匹でなかよく暮らしています。
猫:名前はシェリル。
ラテン語で「愛しい人」「大切な人」の意味。(英語の「Dear」の語源という説も)。銀色の毛並みで“かぎしっぽ”。L字に曲がった尻尾でたくさんのしあわせを招いています。