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【ズボラ女子とわがままウサギ vol.5】けだまとの突然のお別れ…今でも後悔していること

ホーランドロップイヤーの「けだま」
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  • けだまのお薬
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いろんな危機を乗り越えながらも、無事、放し飼いをすることに成功し、飼い主とペットではなく、お互いが自由気ままに共存する生活を送り始めた私と「けだま」。

しかし、お別れの時は突然やってきました。

「もっと自由にしてあげたい」その気持ちが裏目に

けだまをうちに迎えたきっかけは、突然の運命的な出会いによるものでした。そのため、私が当時住んでいたのは1Kの小さな部屋で、そこに収納が付いた大きなベッドを置いていたので、放し飼いに成功したと言っても、部屋が広いわけではありませんでした。怖がりで外で散歩をさせるのもストレスとなるため、頻繁に連れ出すこともできません。

「もっと広い場所で、自由に暮らさせてあげたいな」

ずっとそう思っていた私は、けだまがうちに来て3年が経過したある日、家の契約更新のお知らせが届いたことをきっかけに、引越しを決意したのです。

「10畳ぐらいの家に引っ越して、ベッドも、もっと小さいサイズにしよう」
けだまの生活環境を、さらに快適にしたいとの思いから決めたこの決断が、すべての発端でした。

体調不良への慣れによる過信

以前vol.4でも書いたように、ウサギは頻繁に体調不良を起こします。そのほとんどは「鬱滞」という症状で、色々な原因により胃腸の動きが悪くなり、自分の毛などの異物がお腹に溜まってしまう病気です。

この鬱滞は、命に関わる病気ではあるのですが、早期に発見しきちんと病院で処置をしてもらえば、数日で治る病気でもありました。けだまと暮らし始めて約3年が経過していた私は、その3年間で何度も鬱滞を経験し、もちろんその度に心配はしていたのですが、早く病院に連れて行けば治る病気だという過信ができてしまっていたのだと思います。

引っ越し先の新しい環境にすぐには馴染めなかったけだまは、引っ越すと同時に体調を崩し、鬱滞を起こしてしまいました。引っ越し1日目は食欲がなく、うんちの量もかなり少なく小さくなるなど、いつもの鬱滞の症状でした。そして引っ越し2日目、新しい家の近くにあった動物病院で診察を受け、鬱滞と診断されます。

いつもと同じ処置をしてもらったのですが、なんだかこの先生好きじゃないなと感じていると、けだまも同じ気持ちだったのか、いつもは内弁慶で病院ではかなり大人しかったのですが、抱っこをしている私の服をひたすら噛みちぎり始めたのです。そして家に帰ると、どんどん動かなくなって、苦しそうにうずくまってしまいました。

その時点で、気付いてあげるべきだったのですが、私は仕事が忙しかったことと、嫌な感じではあったけど、一応病院でいつもの処置をしてもらったという安心感もあり、明日の朝、回復が見られなかったらいつもの病院へ行こうという判断をしてしまったのです。

引っ越し3日目、苦しそうな状態は、どんどん悪化していきました。私は、いつもの病院が開く時間になったら電話をしてみようと思い、自分のベッドで一晩中「けだま」の背中をさすり続けていました。

そして夜が明けて、病院で処方された薬を飲ませようと冷蔵庫に取りに行ったその時、事件は起こったのです。薬を用意してベッドに戻ると、けだまの姿がありません。そして次に私が目にしたのは、ベッドの下で変わり果てたけだまの姿でした。

今でも後悔していること

薬を取りに行った私を追いかけようとしてベッドから落ちたのか、いつもの場所に戻ろうと飛び降りて力尽きたのか、真実はわかりません。

ただ、せっかく慣れていた家から、どうして引っ越しをしてしまったんだろうとか、なんでいつもの病院に行かなかったんだろうとか、後悔はたくさんあります。

その中でも一番の後悔は、新しい病院の先生に対し、私もけだまも、何か嫌な感じを感じていたにも関わらず、すぐにいつもの病院に行き直さなかったこと。今まで、私の服を病院で噛みちぎるなんて1度もしなかったけだまが、一所懸命訴えてくれた「嫌な感じ」を、無視してしまったことです。

ウサギは、声帯がないので鳴くことはできません。しかし、全身全霊で、何かを訴えてくれることは度々あったのです。それは、現在一緒に暮らしている2代目の愛ウサギ「けまり」との約6年間の生活の中でも、何度も感じています。

引っ越しなど、環境を変えなければいけないタイミングは、様々な理由があり、避けきれないこともあると思います。その場合、数日間は何があってもすぐに病院に連れて行けるようにスケジュールを空けておくこと、そして少し遠くても、できれば信頼できる病院に連れて行ってあげること。この2つは、ウサギとの共同生活を送るには、必須事項です。

どうしても、いつもの病院に行けない場合は、「なにか嫌だ」という直感を大切にして、別の病院でセカンドオピニオンを受けてください。これは、自分のミスでけだまを失ってしまった私が、けまりとの生活で守り続けていることでもあります。

次回は、「けまり」との出会いをお話したいと思います。

《先川知香》

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