厳しいしつけやトレーニングではなく、「遊び」を通してコミュニケーションをはかることで、人と犬のより豊かな共生を創造したい。そんな思いから始まった取り組みがある。「DOG PLAYNING®(ドッグプレイニング®)」は、遊びながら学ぶことで犬との信頼関係を構築するコーチング理論だ。ドッグプレイニング®TOY「PULLER(プラー)」を使い、信頼を築きながら愛犬と飼い主の健康寿命を伸ばすことを目的としている。
「DOG PLAYNING®」理論を考案し実践するのは、社会貢献事業を行う団体・企業のサポートや、ペット関連事業を行うDear・Children(ディア・チルドレン)。医療法人を母体として設立された同社は、超高齢者社会となった今、ペットの力を借りながら健康寿命を延伸することを目指している。
PULLERとは?…犬の本能を刺激して遊ぶ
PULLERはウクライナのドッグトレーナー、セルゲイ・シコト先生によって開発されたフープ型の玩具。犬に従来備わる捕食本能を刺激し、自発的で楽しく安全な遊び方を提供することができる。
ポイントは2つ1組で使うという点。例えば、1つのおもちゃで「引っ張りっこ」をしていると、犬は興奮したり執着してしまう。おもちゃを投げて「持ってこい」をした時に、くわえたまま戻って来ない…という経験をした飼い主もいるだろう。しかし、2つのPULLERを同時に使いタイミングよく一方から一方へ興味を移すと、唸る、離さない、持って逃げてしまう、壊してしまう、といった行動を抑えることができる。連続した遊びが可能になり、運動量やしつけ効果も高まるという。
紫のカラーにも理由がある。人の視覚は3原色(赤・緑・青)に対応しているが、犬は2原色。認識しているのは、紫から青・黄色と言われている。そのため、犬にとって見やすく、草むらなどでも紛失しづらい色をまとっているのだ。素材は、犬にとって噛み心地が良くしっかりホールドできる無臭の多成分高分子ポリマーを採用。耐久性があり、子供の玩具の安全認証検査(ST基準)と同様の検査もクリアしている。
基本の遊び方は下記の4つ。
<PULLERの遊び方>
1.持ってこい:コロコロと転がしたものを持って帰ってくる。ボールと違い捉えやすく誤飲の心配もない。
2.引っ張りっこ:ロープのように緩まないため、誤って飼い主の手を噛むことがない。しっかりと奥歯で噛みしめられる形状なので、歯を傷めず安全に力を入れることができる。
3.ジャンプ&キャッチ:フライングディスクのように投げたものをキャッチ。飼い主にとってはディスクよりも投げやすく、犬にとっては捉えやすいので遊びが続く。
4.水遊び:超軽量で水に浮くため、水に親しみながらの遊びが可能。また、水中運動は水の浮力により関節や腰の負担を軽減できるので、シニア犬にも適している。
2012年には、PULLERを使ったスポーツ競技「DOG PULLER」の大会がウクライナで行われ、以来欧州を中心に各地で開催されている。現在、世界標準ルールではレトリーブ競技とジャンプ競技の2種目があり、それぞれ90秒の制限時間の中で、レトリーブの回数、ジャンプ回数で得点を競う。
日本最大級の動物専門学校でカリキュラムに採用
PULLERを使った「DOG PLAYNING®(ドッグプレイニング®)」のコーチング理論を習得する人材育成のプロジェクトも始動している。日本最大級の動物専門学校「ちば愛犬動物フラワー学園」のドッグトレーニングコースでは、今年からカリキュラムに組み込まれた。
授業では、ドッグスポーツをバックボーンとして活躍する講師からレトリーブ攻略法とドッグスポーツそのものの習得法を学んだり、ペットに関わる企業による「遊び」をテーマとした講義を実施。生徒たちはそれぞれのパートナードッグとコミュニケーションをはかりながら「遊び」のスキルを身につける。
指導者育成プログラム「PULLER COACH」
一方、プロのドッグトレーナーや犬訓練士に向けて用意されているのが、「PULLER COACH」という認定制度だ。ペットと遊べる&飼い主に遊びを教えることができる指導者として、犬と人のヘルスケアに貢献できる人材の育成を目指す。
全4種の認定制度があるが、第一段階である「PULLER認定サポーター」の概要は下記の通り。
<PULLER認定サポーター>
講習料:5000円(税抜)
期限:無期限
対象:ペット業界でプロとして働いている方限定 学生不可
内容:Dear・Children の理念を理解する
PULLERの基礎知識・使用方法の習得
DOG PULLER のルール習得
<セルゲイ・シコト特別講座>
受講料・認定証発行料:30,000円(税抜)
認定期間:無期限
対象:PULLER認定サポーターの資格を有している方
内容:6本のセルゲイ先生の動画他を視聴し、日本スタッフのオンラインセミナー受講
試験として、PULLERのデモンストレーションを映像に収めて提出いただき、合否を発表するもの
(※一度受講料を納めれば何度でも試験を受けることが可能)
認定されると、認定証が発行され、PULLER体験会の単独開催や、PULLER等の販売が可能となる。その後、段階的に「PULLER認定インストラクター」「PULLER認定トレーナー」「PULLER公認トレーナー」といった資格を取得することも可能。同認定講座は、「PULLERの理念と知識だけに限定しどのように指導するかはプロフェッショナルである皆様に委ねる」としている。