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PR犬ダンク引退、発達障害を持つ男の子の家族に…日本介助犬協会

PR犬ダンク引退、発達障害を持つ男の子の家族の一員に
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日本介助犬協会は、2月に引退した元PR犬のダンクを、発達障害を持つ男の子の家族へ譲渡した。

同協会は、手足の不自由な人の手助けを行う介助犬の育成・普及活動を行っている。介助犬、そして介助犬とともに暮らす肢体不自由者は全国に57ペア(2020年10月現在)しかおらず、認知度が低いことが課題の一つである。そこで同協会は普及活動にも力を入れており、全国各地で開催される講演会やイベントの場にて介助犬のデモンストレーションを実施し、介助犬の役割や必要性を訴えている。

そのような場で活躍するのが「PR犬」だ。PR犬は、介助犬として適正を見極めて訓練を受けていく過程の中で、介助犬ではなくPR犬としての素質があると判断された犬のこと。人が大好きで、どんなところでも寝ることができ、初めて行く場所でも職員のハンドリングの元落ち着いてデモンストレーションができる犬がPR犬に向いているのという。同協会では、現在8頭のPR犬が活躍している。

そのPR犬の1頭だったダンク(6歳、オス)が2月に引退し、神奈川県横浜市に住むOさんの家族へ譲渡された。ダンクは2歳からPR犬となり、協会本部がある横浜市を拠点に活動していた。落としたものを拾う、携帯電話を探して持ってくるなどのデモンストレーションを行う他にも、愛嬌のある性格で、ふれあいでは尾を振りながら自ら客に撫でてもらいに行くなど、様々な場面で活躍していたのだそう。

協会本部には犬が過ごす犬舎はない。そのため、ダンクのようなPR犬を預かり、送迎などを協力する飼育ボランティアの存在が欠かせないという。そのダンクを5年間預かっていたボランティアが、今回譲渡されたOさんだ。

Oさんの長男Sくん(9歳)は発達障害があり、Sくんが通う市内の障害者施設に貼ってあったPR犬預かりボランティア募集のチラシを見てボランティアを始めたのだそう。ダンクと生活をしはじめた当時まだ4歳だったSくんは、自分より大きいダンクのことを少し怖がっていたとのことだが、次第に仲良くなり、今では兄弟のように一緒に過ごしているという。

同協会がPR犬を引退する年齢として定めた7歳を4月に迎えるにあたり、ダンクは引退し、Oさんの家族の一員として譲渡された。

同協会は「介助犬には向かない」と判断した犬たちを一般の家庭に譲渡しているほか、障害児者のいる家庭への犬のマッチング・譲渡にも“With Youプロジェクト”として積極的に取り組んでいる。2015年のプロジェクト開始以降、これまでに21頭の犬たちが障害児者のいる家庭に、家族として迎えられている。

《鈴木まゆこ》

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