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【僕と愛犬の癌闘病記 vol.8】癌と向き合いながら変化していく生活

パピヨンのルナ
  • パピヨンのルナ

インターネットを駆使して見つけた臨床試験。かかりつけ病院に相談して手配してもらった東京大学附属病院動物医療センターでの事前検査は夜遅くまでかかりました。今回はその結果と検査後の生活をお伝えします。

見えない病気は想像以上に進行していることを実感

午前中から続いていた検査が終わったのは20時を回った頃でした。診察室に通されてルナに対面すると、特別疲れた様子もなく愛想良く尻尾をフリフリしていたので安心したのを覚えています。前田先生からは検査結果の数値や画像を見ながら細部の説明をされ、結果としてはストレートな言い方をすると末期状態で、いつ旅立ってもおかしくはない状態とのこと。数ヶ月なのか、数日なのか、ルナの気力次第ですね、ということでした。ルナの顔を見ると目は輝いているようで、「まだ頑張れるよ」と言いたげな表情に見えてしまい、諦めてはダメだなと改めて思ったので少し考えてから先生に言いました。

「この状況ですが、臨床試験に参加させてもらえますか?」

勝手な僕の解釈ですが、臨床試験である以上は少しでも良い結果を集めないと次の段階には進めないのだろうなと。そう思っていながらも臨床試験の参加をお願いするのは僕の我が儘なんじゃないか、でも諦められないからちょっとでもルナと過ごせる時間が延びるのであれば可能な限りやりたいという思いがこの発言に繋がりました。

僕の言葉を聞いた先生も嫌な顔を全くせずに「分かりました。やりましょう。」と言ってくれ、無事に希望していた治療を受けることとなったのです。4ヶ月目からは薬代(数万円)がかかるけれど、是非とも払いたい薬代だなと強く感じました。

今まで以上にスローな生活がスタートする

毎日の投薬治療は、ペット用の練り物状フードに包んで口の中に放り込む的な食べさせ方です。ルナも薬を飲むのは嫌なのか、油断するとペッと吐き出します。時には飲んだフリをしてこちらを油断させて隠れながら吐き出すことも。ある意味賢いなーとは思うのですが、飲ませないという選択肢はないので飲みきるまで格闘です。

そんな日々を過ごしながら、徐々にルナは足が上手に動かないのか長時間立った姿勢を保つことができなくなってきました。ずっと家の中だと気分も滅入るだろうから抱っこしてベランダへ出てみたり、キャリーバッグに入れて散歩してみたりと気分転換をすることに。近所の川沿いに公園があったので、歩いているとバッグの中で尻尾をフリフリしながらずっと外を眺めています。そういう姿を見ると、連れて行って喜ぶのであればもっと連れて行こうと思うようになり、朝昼晩3回は散歩に行っていました。

ただコロナ禍での散歩はマスク必須だったので、飼い主の方が疲れてベンチに座ることも多々。その時にはバッグから出してベンチや膝の上で過ごさせたのですが、やはり風に当たりながら外を見るのが好きなのでしょう、すごく目がキラキラしているのが飼い主としても嬉しかったです。もうちょっとどうにかできないかな? と考えた末に導入したのがペットカートです。

買うとそれなりの値段がするペットカートの“レンタル”を発見する

ペットカートを導入しようと考えてから色々な製品を検討しました。値段も大きさも色々とあって選ぶのがすごく難しい。金額も安いのから高いのまであって、説明を読んでも当然良いことしか書いていないので選ぶのに苦労しました。

そんな中、ふとペットカートのレンタル会社を発見。その会社では新品をレンタルしてくれるプランもあったのです。最新型ではなかったのですが名前の通ったブランドの製品で、3ヶ月のレンタルは必須という条件はありましたが毎月2000円ぐらいのレンタル料だったと思います。必要がなくなったら返却すればいいので気軽に使えるなと思い、即申し込み。数日で手元に届き、ルナを乗せて散歩に連れて行くとずっとお座りの体勢で嬉しそうにキョロキョロと周りを見ていました。飼い主としてもカートを押すだけなので体力的にも非常に楽になり、今まで以上に長い時間をルナとの散歩に使うことができました。今思ってもすごく楽しく暖かい時間だったなぁと思います。

癌である以上は暖かい時間が続くわけはなく、ルナは新たな局面を迎えます。その局面を迎えたからこそ新たに導入した機器は、必要と思ったら迷わず借りてくださいと言えるものです。次回、必要になった理由や導入後にどう変わったのかを含めてお伝えします。

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《藤澤純一》

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