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【僕と愛犬の癌闘病記 vol.9】弱まっていく命の灯火、1分でも長く共に過ごしたい飼い主にできること

【僕と愛犬の癌闘病記 vol.9】弱まっていく命の灯火、1分でも長く共に過ごしたい飼い主にできること
  • 【僕と愛犬の癌闘病記 vol.9】弱まっていく命の灯火、1分でも長く共に過ごしたい飼い主にできること

臨床試験に参加することになり、毎日決められた薬を飲み続けてゆっくりとした日々を過ごす僕とルナ。無事に1ヶ月が経過して2度目の検査を受けることになりました。

新薬の効果はあるも、止められない転移

検査は朝から行われ、全てが終わったのは夕方でした。病院付近で時間を潰していましたが、検査結果が出たとのことで診察室へ。担当の前田先生から画像を見ながら詳しい解説を聞くこととなります。

結果としては、目的としていた癌の原発巣が縮小しているのだけれど、転移巣が広がっていて肺や腰骨あたりにガン細胞が確認されるという内容。もっと早くに行動を起こしていれば違った結果になったかも知れない、そんな後悔が頭を過ります。幸い脳や神経には現状転移は見られないので、今まで通りの生活はできるはずとのことでした。僕自身は少し落ち込んでいたのですが、当の本人であるルナは未だにキラキラした目で見つめてきます。そんな姿を見ていると、“その時”が来るまで精一杯生きていこうという思いが改めて湧いてきたことを覚えています。

迷わず導入すべきの酸素ハウス

片足が不自由になっても動こうとするルナですが、次第に動くたびに息切れするようになってきました。最初のうちは「無理して動くなよ。オムツもしているんだからゆっくりしていていいんだよ」なんて言いながら過ごしていたのですが、次第に息切れする時間が長くなり、かかりつけ医へ相談すると酸素ハウスの導入を勧められました。

それがこの記事の写真なのですが、今であれば少しでも息切れが始まったら即導入すべき機材だと言えます。ルナも本能的にここへ入れば身体が楽になるというのが分かるのか、最初に設置した時に中へ入れてからは勝手にハウスへ入るように。機材の音は決して静かではありませんが、高密度発泡スチロールで囲って少しでも騒音を抑えてから24時間稼働させていました。夜寝るときはハウスから出てきて一緒に寝ようとするので、布団とハウスをくっつけてルナの身体に触れながら眠る日々です。

普段は酸素ハウスの中で過ごし、散歩はペットカートで近所をぐるりと回って風を感じ、夜は隣でおやすみなさい。飼い主として助かったのは食欲がほとんど落ちずに量も回数も食べてくれたこと。好き嫌いはありましたが食べてくれるものを探して体重だけは落とさないように気をつけていました。そうしているうちに3度目の臨床試験検査の日がやってきます。

現実を突きつけられる癌との戦い

毎度のように朝から検査で夕方に結果を聞くことになり、状況としては原発巣は縮小傾向で転移巣が広がっているという状況。特に酷いのが肺への転移で、「酸素ハウスを導入しておいて良かったですね」と言われました。病院までは車で1時間ほどなのですが、途中呼吸が荒くなって苦しそうにして携帯酸素ボンベを吸わせることもあったのでルナには辛い思いをさせたなぁと思っています。

先生からは少し脱水症状が見られるので可能ならば自宅で点滴をした方が良いというアドバイスもあり、点滴針を入れる講習を受けてから帰宅しました。その日から寝る前に点滴をすることになったのです。点滴針はなかなか太くて長いのでかなり戸惑いましたが、少しでもルナが楽になるのであれば…と怖がらずに思い切って処置します。痛がる様子もなく大人しくしてくれていたので良かったのですが、痛そうにしたり鳴いたりしたら僕の心は折れていたかも知れません。本当にルナには感謝しています。

その後、日々接していても弱っていくのを感じることが多くなり、複雑な気持ちでルナと接していたのですが…やはり病は待ってくれず、とうとう“その時が”来てしまったのです。

《藤澤純一》

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