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新しい出会いに“ありがとう”、保護犬「ここな」を迎えてからの生活

トイプードルの「ぷに」ちゃん(左)と「ここな」ちゃん(右)
  • トイプードルの「ぷに」ちゃん(左)と「ここな」ちゃん(右)
  • 慎重なプロセスを経て迎えられた「ここな」ちゃん
  • お家に来た日からリラックス?
  • 当初は戸惑った「ぷに」ちゃんも、次第に距離を近づけて
  • 今では仲良くツーショット
  • 成長を見られる喜びは大きいと語る清水さん
  • 「とにかく、ありがとう」

前回は、トイプードルの「ぷに」ちゃんが軽井沢への移住を飼い主の清水さん夫妻に決意させたエピソードを紹介しました。今回は、ぷにちゃんからのもう1つのプレゼント、「ここな」ちゃんとの出会いについてお聞きします。保護犬をお迎えすることで、かけがえのない学びや喜びも得られたそうです。

少し個性的だった保護犬の「ここな」ちゃん

----:ここなちゃんは、保護犬だったそうですね。

清水さん:はい、富山県にある保護団体さんから迎えました。以前から、「保護犬を迎えたい」と思っていました。団体さんのホームページに、「推定7歳から9歳」と載っていたここなが気になったんです。他の子は新しいご家族に迎えられていくのに、このコは長い間そこにいたんです。年齢的に、あまり手を挙げる方がいなかったのかも知れません。

「ヒトのお膝が大好きで、よくおしゃべりします」とも書かれていました。「おしゃべり」というのは、「吠えますよ」という意味だと理解しました。軽井沢なら少々吠えても大丈夫! 夫婦2人いるので、お膝が好きなら抱っこしてあげられる。そう思って、富山まで会いに行きました。

----:実際に会った時の印象は?

清水さん:「ぽけーっ」としてました(笑) それから、一緒にいた預かりボランティアさんに甘えたくて、私たちのことなんか眼中にありませんでしたね。「このヒトを信頼する」って決めたら、そばにずっといたかったんでしょう。そこがいじらしくて…。私たちに愛敬を振りまくことはありませんでしたが、そこも含めて「この子を迎えたい」という思いが一層強くなりました。

----:その日にお家に迎えたのですか?

清水さん:いえ、申込の後に(保護団体による)審査を受けた上でお迎えが決まりました。(譲渡の際は)環境を確認するためもあって、保護団体さんが家まで連れて来られました。そこから2週間のトライアルを経て、ウチの子になりました。

新しい家族に戸惑ったぷにちゃん

----:慎重なプロセスを経て譲渡となるわけですね。保護団体さんの愛情も感じます。そうして清水家の一員になったここなちゃんですが、どんな子ですか?

清水さん:過酷な環境で生きてきたからなのか、図々しいんですよ(笑) ぷにを「ど~ん」と蹴散らして、膝に乗って来るような…。(家に来てからは)初めて会った時に見た、いじらしい様子はまったくありません。人にかまってもらうのがすごく嬉しいようで、目が合えば常に尻尾を振っています。

お家に来た日からリラックス?お家に来た日からリラックス?

----:ぷにちゃんの反応は?

清水さん:(当初は)すごく戸惑っていました。「この子、いつ帰るんだろう?」って感じだったと思います。少しするとぷにが遠慮するようになってしまいました。自宅で仕事をするときは、クッションを2つ足元に置くんですが、ここながいるとぷにが来なくなっちゃったんです。「あの子がいるなら、私はい~や」って感じで。

----:人間も同じですが、すぐに打ち解けるのは難しいですよね。今はいかがですか?

清水さん:数か月かかりましたが、ここなが先にいても、(足元に)来られるようになりました。ぷにの性格として、新しいことを受け入れるのに時間がかかったんだと思います。6歳半まで「一人っ子」で過ごしてきたので、年上のワンちゃんが来て戸惑いもあったでしょう。

当初は戸惑った「ぷに」ちゃんも、次第に距離を近づけて当初は戸惑った「ぷに」ちゃんも、次第に距離を近づけて

ここなちゃんをお迎えして得られた、さらなる学びと喜び

----:その間、どんな思いで「ふたり」の様子を見ていらっしゃいましたか?

清水さん:ぷににつらい思いさせているなと、すごく悩みました。ここなにも申し訳ない気持ちで…最初の一週間は私が泣いていました。でも、色々な方にお話を聞いて、慣れるまでに時間がかかるのは普通なんだと知りました。「私が悩んでいると、この子たちにそれが伝わっちゃうな」と思い、気にしないようにしました。

----:ぷにちゃんも色々な経験を積んだと思いますが、飼い主さんにも貴重な経験でしたね。

清水さん:本当にそうですね。当初は、SNSで見るような多頭飼いの(和やかな)世界とは違いました。でも、そうした悩みも含めて、このコたちのお陰でまた色々勉強できました。

今では仲良くツーショット今では仲良くツーショット

----:ここなちゃんと1年。ぷにちゃんとは7年ですが、犬たちと暮らす良さって何でしょうか?

清水さん:たくさんありますね。ここなが来たことで、世話は1.5倍くらいかかっていると思います。でも、ここなの成長を見られるのは、その何倍もうれしいですね。(推定)7~9歳で迎えても、新しくできるようになることってたくさんあるんです。例えば、知育玩具に詰めたお菓子を探し出すことができるようになったり。小さな変化に喜びを感じられる幸せを、ここなからもらっています。ブログやインスタグラムを使っていますが、情報発信を通して保護犬という存在を少しでも知ってもらえたら嬉しいですね。

ぷには、他の犬の存在を受け入れる余裕というか、大人になれたかな。成長したぷにの新たな一面が見られたのも嬉しいです。

成長を見られる喜びは大きいと語る清水さん成長を見られる喜びは大きいと語る清水さん

ぷにちゃんからの贈り物に「ありがとう」

----:お二人の人生を変えた大きな存在である、ぷにちゃんに一言お願いします。

清水さん:ありきたりですけど、「出会ってくれてありがとう」。ぷにには価値観や人生を大きく変えてもらいました。それから、保護犬という課題を知り、ここなと出会えたのもぷにのおかげです。癒し以上のものをプレゼントしてもらいました。実際、パピー期のトイレ・トレーニングなんて、癒しでも何でもないじゃないですか(笑) 病気になったら心配でたまらないですし…。何て言うんですかね…、もう本当に家族です。で、とにかく「ありがとう」。


清水さんご夫妻の場合、愛犬がまったく新しい生活と新しい出会いをプレゼントしてくれました。飼い主の考え方や動物たちの個性によって、彼ら・彼女らからもたらされるものは様々でしょう。ただ、多くの方から、「ありがとう」の言葉をよく聞きます。動物たちは、私たちにたくさんの贈り物をくれる大切な家族の一員です。限られた時間ではありますが、一日ごと、「その瞬間」ごとに感謝しながら楽しく共に過ごしていきたいですね。

清水さんご夫妻
コロナ禍以前からリモートワークできる環境を活かし、東京の都心から軽井沢に移住して約3年。自然に恵まれた環境で、愛犬とご夫婦の「4にん」暮らし。トイプードル"ぷに" & "ここな"の成長記録「ぷにここ一家」(ブログ)では、愛犬たちとの日常を紹介している(https://ameblo.jp/punipuni0409/)

《石川徹》

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