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エキノコックス、愛知県の知多半島で「定着」か

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キツネや犬の糞を媒介に、ヒトが感染することもあり得る「エキノコックス症」。国立感染症研究所は、近年相次ぐ野犬の感染確認を受け、愛知県南部の知多半島で「定着した」との見解を示した。10月12日付の福井新聞が報じた。

◆自覚症状が出るまで10年

この病気は、エキノコックス(多包条虫)と呼ばれる寄生虫によって引き起こされる感染症で、主に肝機能障害を招く。感染してから症状が出るまでに一般的に10年ほどかかるとされ、判明した時には進行している恐れがある病気だ。自覚症状としては、発熱や疲れやすさ、黄疸、上腹部の不快感などがある。

◆北海道が「流行地域」に指定

北海道が流行地域とされており、北海道福祉保健部によれば「他の都道府県ではあまり見られない病気」だが、北海道では毎年20名ほどの患者が確認されるという。キタキツネが主な感染源で、糞とともに排出された卵を、水や野菜などと一緒に取り込むことでヒトに感染する。根治には、寄生によりダメージを受けた部分の肝臓を外科的に切除することが必要なため、早期発見が重要である。北海道では、市町村と保健所などが血液検査など検診を推奨している。

◆愛知県南部で発見が続く

愛知県では、2014年4月に南部の知多郡阿久比町で捕獲された野犬1頭がエキノコックス症と確認された。2017年に2頭、2018年にも1頭、知多半島エリアで捕獲された野犬が陽性と診断されている。さらに2020年に3件、2021年にも2月に2件確認されていることから、「定着」との見解に至ったと思われる。

県では、「適切に予防すれば人への感染の危険はない」として、以下の対策を推奨している。

1. 野山に出かけ、帰ったときはよく手を洗うこと。
2. 野犬や野生動物にはむやみに触れないこと。触れた場合は、よく手を洗うこと。
3. 衣服や靴についた泥はよく落とすこと。
4. 沢や川の生水は飲まないこと。
5. 山菜や野菜、果物等はよく洗ってから食べること。
6. 犬の放し飼いをしないこと。犬の糞便は適切に処理すること。
(愛知県健康福祉部保健医療局健康対策課感染症グループ)

◆「まん延」ではないが衛生面には注意

福井新聞によれば、「県は"まん延している状況ではない"」としているとのことで、過剰な心配は不要と思われる。これからの季節、新型コロナウイルス感染症だけでなくインフルエンザの流行も予想されている。基本的な感染症対策として、手洗いを含む衛生面に注意した生活に努めたい。

◆ペットは室内飼育を

なお、キツネや犬は感染した野ネズミを食べることでエキノコックスに感染する。また、リスクは高くないとされているが、猫からエキノコックスの卵が見つかった例も報告されており、北海道環境生活部では「油断は禁物」としている。事故防止などペットの安全のためにも、犬・猫の放し飼いはしないことが肝要だ。また、野犬を含む野生動物との不用意な接触も避けるのが安全だろう。

参考:「エキノコックス症について」(厚生労働省)/「愛知県知多半島の犬におけるエキノコックス(多包条虫)感染事例について」(厚生労働省)/「愛知県内でエキノコックス陽性犬が発見された地域」(愛知県衛生研究所)/「エキノコックス症に関するQ&A」(北海道)/「飼い猫からエキノコックス」(北海道)
《石川徹》

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