現地時間4月5日、アメリカ合衆国農務省(USDA)のNVSL(National Veterinary Services Laboratories 直訳:全米獣医サービス研究所)は、ニューヨークの動物園で飼育されているトラ1頭から新型コロナウイルスが検出されたと発表した。
同園では、複数のライオンおよびトラに呼吸器系疾患の症状が見られたため、トラ1頭から検体を採取して検査したところ、新型コロナウイルスが検出された。これらの大型猫類は、新型コロナウイルスに感染した従業員との接触後に病気の症状を見せ始めたと、アメリカの公衆衛生機関は考えているとのことである。
当該動物園の他の動物には、新型コロナウイルス感染を疑う症状は見つかっていないが、USDAとアメリカ疾病予防管理センター(CDC)が観察を継続する。また、ライオンおよびトラの健康状態は、回復に向かっているとしている。
このほか、香港では3月に犬2頭から新型コロナウイルスが検出されたが、病気の症状は見られなかった。また、3月30日にウイルスが検出された猫1匹が現在隔離されているが、この猫にも病気の症状は現れていないとのことだ。
ベルギーでも、新型コロナウイルスに感染した飼い主宅の猫に呼吸器と消化器系疾患の症状が見られ、排泄物と吐しゃ物を検査したところ新型コロナウイルスが検出されたとの報告がある。このケースでは詳細な情報が得られておらず、新型コロナウイルスと病気との関係性は明らかになっていない。なお、猫の健康状態は発症から9日後に回復したと言われている。
全米獣医師会(AVMA)によれば、詳細情報が得られていないベルギーの猫以外には、ペットにおける新型コロナウイルスの感染による病気が疑われるケースは報告されていないそうである。また、人と動物間の感染に関するエビデンスも見つかっていないとしている。
したがって同医師会は、現在のところペットが新型コロナウイルスの感染源になると考える根拠はないとし、飼い主には緊急事態に備えて最低2週間分の食事(エサ)とペット用常備薬の確保を勧めている。
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