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一瞬のドラマを切り撮る…ミュージシャンのライブを長年追ってきた写真家が撮る、わんちゃんの「かわいい」[インタビュー]

写真家・堂園博之さん、絵描き・堂園伸子さんご夫婦とBECK
  • 写真家・堂園博之さん、絵描き・堂園伸子さんご夫婦とBECK
  • わんちゃん専門フォトスタジオ「わんわん ありがとうの日」
  • 自然光あふれるスタジオ
  • 白文鳥の「BECK」をミニマリズムで表現した「BECKBOOK」
  • 白文鳥のBECKは2歳の男子
  • 堂園さんの世界観
  • 犬の魅力に「ハマる」きっかけとなったシュナウザー
  • 堂園さんを「いつも助けている」モルヴァン

スマートフォンやSNSの普及により、ペットを写真に撮る機会が多い昨今。Instagram(インスタグラム)などでは、個性豊かな「わが子」の写真を目にする。

レンズ交換式のカメラを使い、フォトレッスンに参加する飼い主も増えている。愛犬をプロのカメラマンに撮影してもらうチャンスもあり、ドッグランでの「飛行犬」やペット用品店などでの撮影会に参加したことのある飼い主も多いだろう。

都内在住の写真家、堂園博之さんはこれまで主にミュージシャンを撮影してきた。その彼が今年、「わんちゃん専門フォトスタジオ」をオープン。

わんちゃん専門フォトスタジオ「わんわん ありがとうの日」

日本武道館や横浜アリーナなどで行われる有名アーティストのライブでオフィシャルフォトグラファーを務め、「一瞬のドラマを切り撮る」のが得意という堂園さんが、なぜ犬を撮ろうと思ったのか。その経緯から犬の魅力について聞いた。

作品のテーマは「ミニマリズム」

----:写真を拝見すると、シンプルでナチュラルな印象を受けます。作品の方向性について、簡単に教えて下さい。

堂園博之氏(以下敬称略):作品作りのテーマは「ミニマリズム」です。情報をできるだけ少なくして、主役がひき立つ絵創りをしています。

白文鳥のBECKは2歳の男子

----:「白文鳥のBECK」を撮った2冊組の写真集「BECKBOOK(ベックブック)」を出版されました。ライフワークとのことですが、そこに写真家としての作風が凝縮されているのでしょうか?

堂園:そうですね。仕事でもできるだけミニマリズムを追求していますが、なかなか難しいんです。例えば5人組の音楽アーティストの場合、「引き」の絵で5人の全身写真をミニマリズムで表現するには、すごく広いスタジオやロケ地に大掛かりな撮影セットを用意する必要があります。

堂園さんの世界観

「もっとミニマリズムを表現したいな」と感じている時に、白文鳥と暮らし始めました。「小鳥なら、小さなスペースでもミニマリズムを表現できるんじゃないか」と思って、寝室の隅に撮影セットを作り写真を撮り始めたんです。白い小鳥の愛くるしさと美しさに視線が行くシンプルな構図で、納得のいく表現ができました。インスタグラムにアップし始めて2年後に「NEW JAPAN PHOTO*」に入選。海外のアートブック展を経て、写真集「BECKBOOK」として出版することになりました。

白文鳥の「BECK」をミニマリズムで表現した「BECKBOOK」

バンド活動からミュージシャンのフォトグラファーに転身

----:写真を始めたきっかけは?

堂園:20代前半までバンド活動をしていました。インディーズレーベルに所属して、メジャーデビューを目指していました。アルバムとシングルを3枚ずつリリースし、ライブも行っていたんですが25歳の時に解散。音楽だけに集中して生きてきたので、自分の中に「何にもなくなった…」んです。

そこで、思い立ってロサンゼルスに行ってみたんです。せっかくなので、「現地で写真でも撮ろう」というくらいの気持ちで一眼レフを買ったのが写真を撮るきっかけです。オート(=自動設定)でひたすらロスの日々を撮影しました。帰国後、地元の写真家さんにお会いして見て頂くと「すごくいいじゃん!」と言われ、写真のことをゼロから教えていただきました。「褒めていただいた」というのがきっかけでした。

----:その後、プロとしてはどんな写真を撮ってこられたんですか?

堂園:最初は自分の所属していたインディーズレーベルからデビューするバンドのアーティスト写真やミュージックビデオを撮って欲しいと依頼され、フォトグラファーとしての仕事が始まりました。それ以来14年、仕事のメインは音楽アーティストの撮影です。

そして犬を撮ることに

----:そんな堂園さんが、「わんちゃん専門フォトスタジオ『わんわん ありがとうの日』」をオープンされたわけですが…。「犬専門」にしたのはいつですか?

堂園:急にガラッと変わりますよね(笑)。わんちゃん専門にしたのは今年の6月です。その1年前、2019年の5月に人物メインのフォトスタジオとしてオープンしました。

自然光あふれるスタジオ

----:なぜ犬専門に?

堂園:本当に「ご縁」なんですけど、最初のお客さまがミニチュアシュナウザーを飼っていて、シュナウザーの集まるイベントでの撮影を依頼されたのがきっかけです。

そのイベントで、「わんちゃんの写真って、こんなに喜ばれるんだ」ということを知りました。僕にとっては広告撮影などで、(白バックを使った)ミニマリズムな雰囲気の写真はスタンダードな撮影方法なんです。でも、「こんな感じに、(愛犬を)おしゃれに撮ってもらえる所ってないんですよ~」という飼い主さんが多かったんです。

犬の魅力に「ハマる」きっかけとなったシュナウザー

自分が表現したいイメージでわんちゃんを撮ることができて、そして、それがとても喜ばれたのが嬉しかったですね。そこで、まず土日限定で「わんわん ありがとうの日」という写真撮影会イベントを始めました。

犬とライブの共通点…動きの中に見る一瞬のドラマ

----:犬を含め動物を撮ることの、どのような部分に魅力を感じますか?

堂園:写真家としての仕事では、ライブの撮影を評価していただいています。ライブって、(被写体が)動くじゃないですか。その「動き」の中で、カッコ良さが解き放たれた一瞬を撮るのがとても好きなんです。ドキュメンタリーをドラマに変換するというか…。

----: 動きの中の一瞬を切り取って何かを表現する、という点では犬もライブ中のミュージシャン同様に被写体として魅力的ということですか?

堂園:そうですね。動きがあることと、もう一つ、視線やしぐさから「感情を読み取れる」っていう点も魅力ですね。音楽アーティストを撮る時は、「今、こう思っているんだろうな」と考えながらシャッターを切っています。わんちゃんを撮る時も同じです。気持ちが表情に出る瞬間を追います。動物にも、ドラマがありますから。

堂園さんを「いつも助けている」モルヴァン

「こんなにかわいく見えてますよ!」を伝える

----:犬の写真を撮る上では、何を重視していますか?

堂園:わんちゃんは、みんな可愛いんです。それぞれ毛並みやしっぽ、肉球、色んな良さがあります。個性を引き立たせた上で、色や構図、視点を通して何かしらのストーリーが見える写真を意識します。

----:その子その子の魅力を堂園さんが見つけて、それを引き出すということですね。

堂園:その通りですね。僕の思う写真って「僕が見ている視点」なんですよね。「僕にはこんなにステキに見えていますよ」を伝える道具です。アーティストもわんちゃんも一緒ですけど、「カッコいいですね!」「かわいいですね!」「こんなにかわいく見えてるよ!」ということを写真でお伝えしているんです。

----:演奏、ミュージシャンの撮影ときて、犬に「ハマって」しまったわけですね(笑)。

堂園:そうです(笑)近い将来、犬の多い街に「わんわん ありがとうの日」(=わんちゃん専門スタジオ)を作る予定です。フォトスタジオだけでなく、できればトリミングサロンやカフェもあって、「ワンちゃんと行って楽しい場所」にしたいと思います。

「ワンちゃんと行って楽しい場所」を作りたいと語る

自身にとって初めての愛犬である生後6か月のビションフリーゼ「モルヴァン**」には、「人生、助けられています」という堂園さん。フォトスタジオ名の「わんわんありがとうの日」は、「いつもお留守番ありがとう」「毎日笑わせてくれてありがとう」という飼い主の思いが込められている。スタジオでは、自由に遊んでいればOKとのこと。一緒に遊ぶ愛犬の「一瞬のドラマ」を切り撮ってもらうのはきっと楽しいだろう。



* 堂園博之氏
1981年愛知県出身。音楽エンターテイメント業界を中心に写真家として活動し、主にメジャーアーティストの写真撮影や映像制作に携わる。同時にライフワークとしてペットの白文鳥を主役に創作活動続け、2018年には日本の写真家を世界に紹介するアートブック「NEW JAPAN PHOTO」に入選。世界7か国のアートブック展で取扱われるとともに、パリのルーヴル美術館で開催されたアートフォト展にも参加。2019年1月、「DOZONO STUDIO Inc.」を設立。

** イラストレーターの奥さまが好きな、フランスのポスターアーティスト/デザイナー、エルヴェ・モルヴァン(Herve Marvan)氏から

写真提供:DOZONO STUDIO Inc.

《石川徹》

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