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アメリカの動物愛護事情、“危険な犬”という考え方ほか…まとめ

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アメリカの動物愛護に関しては、「危険」とされる犬種を規制する「特定犬種規制法(BSL)」に注目した。「ピットブルタイプ」に分類される犬たちは、飼育方法や繁殖などに大幅な制限が加えられる地域がある。飼育そのものが違法とされている場所もある。

しかしながら、現在では犬種でひとくくりにする法規制に科学的根拠がないと否定される傾向にある。イギリスにも同様の法律があるが、反対の声が上がり廃止を求める運動も行われている。日本にも一部にある「特定犬」条例なども含め、「危険な犬種」という考え方について紹介した。

  • 【“危険な犬種”は存在するか? vol.1】犬による咬傷事故のケース

    犬による咬傷(こうしょう=動物にかまれた傷)事故が、時折日本でも報道される。環境省のデータでは、2016年に約4300件の事故が発生している。こうした時、犬種による危険性を指摘する声が聞かれる。日本でも、「ヤバい犬」や「凶暴な犬種」として特定犬種を取り上げた記事がある。この特集では、そうした意見が果たして理論的なのかどうかを検証した。

  • 【“危険な犬種”は存在するか? vol.2】アメリカの法規制は特定犬種規制から犬種非特定へ

    ネットニュースで「ヤバい犬」のレッテルを貼られたピットブルだが、アメリカには愛好家も多い。一般には、アメリカン・ピットブル・テリア、アメリカン・スタッフォードシャー・テリア、スタッフォードシャー・ブル・テリアおよびアメリカン・ブリーの4犬種が「ピットブルタイプ」と呼ばれるそうだ。アメリカには、危険な犬の飼育を規制する法律があり「特定犬種規制法(BSL)」と呼ばれている。州や地域によって、ピットブルタイプを中心に扱いに制限を設けており、場合によっては飼育そのものが違法とされる場合もある。

  • 【“危険な犬種”は存在するか? vol.3】特定犬種を規制する法律の問題点

    そんなアメリカも、昨今では犬種でひとくくりにしない「BNL」(Breed Neutral Legislation)に移行しているという。犬の攻撃性には、犬種以外の多くの要素が影響を与えるという考えが現在の主流だ。したがって、個々の飼い主と犬それぞれの個性と行動に焦点を当て、危険なケースを法律で規制する形に移行している。

  • 【“危険な犬種”は存在するか? vol.4】法規制が必要なのは犬種か飼い主か

    日本でも、茨城県と佐賀県では特定の大型犬種を檻で飼うことを求める「特定犬」条例がある。しかしながら、日本で発生した咬傷事故では飼い主の管理に問題があったケースがほとんどのようだ。アメリカ同様、犬種ではなく個々のケースをきちんと検証し、飼い主の管理を含めた法整備が重要ではないだろうか?

  • 【"危険な犬種"は存在するか? vol.5】「犬の場合は種類よりも血筋が重要」…専門家に聞く

    様々なテリア犬種のブリーディングに長年携わってきた専門家に話を聞いた。犬種よりも、どんな目的でブリーディングされてきた犬なのか、血筋によって犬の特性は大きく異なるという。おとなしいピットブルも、凶暴なチワワもいる。すべてのラブラドールレトリーバーが盲導犬になれるわけでもない。「闘犬」として代々ブリーディングされてこなければ、土佐犬も闘犬にはなり得ない。

  • 【"危険な犬種"は存在するか? vol.6】相性の良い子犬を迎えるには[番外編]

    危険な犬種に関する議論から少し発展して、一般の飼い主が相性の良い犬を愛犬に迎えるためにはどんなことに気をつけたら良いのか、専門家に伝授してもらった。

  • ピットブルに顕著な攻撃性は認められず…英・王立獣医大学が発表

    イギリスの王立獣医科大学(RVC)がピットブルの1種「スタッフォードシャー・ブル・テリア」を獣医学的に他犬種と比較した最新の研究結果を発表した。アメリカでは特定犬種規制法の対象になることの多いこのテリアは、イギリスでも一般的に攻撃的なイメージがあるそうだ。科学的な研究の結果、他の犬種と比較して明らかな攻撃性は認められなかったとしている。

  • その他1:【アメリカの動物愛護事情】ライオンやトラなど、「ビッグキャット」の虐待防止法の成立を目指す

    アメリカでは、ライオンやトラなどネコ科の大型動物をペットとして飼育する愛好家がいる。適切な環境が整っていないケースが多いため、飼育を禁止する「ビッグ・キャット・パブリック・セーフティ法」の成立に向けた活動が2020年に行われた。残念ながら法案の成立には至らなかったが、動物愛護団体等は現在も運動を続けているそうだ。

  • その他2:ニューヨーク州でペットショップでの動物販売を禁止する法案が上院を通過(2020.08)

    2020年7月、犬・猫・ウサギをペットショップで販売することを禁止する法案がニューヨーク州上院で可決された。カリフォルニア州では既に施行されているが、ペットショップなどの業界から強い反発もあるようだ。(ちなみに現在、審議は下院に移ったが今のところ結論に至っていない。)


イギリスや日本同様に、ペットショップでの犬猫の生体販売はアメリカでも議論の的となっているようだ。その一方で、ライオンやトラなどの飼育に関する問題などは、この国独特の話題だろう。

特定犬種規制法については、日本にあまり関係ないと感じる愛犬家もいるかもしれない。しかし、茨城県や佐賀県のような条例が、他の地域にも設けられない保証はない。根拠のない制限が加えられることのないよう、行政の動きを注視することも市民の義務と言える。ちなみに、アメリカには「101匹わんちゃん」で親しまれているダルメシアンを危険な犬種としている地域もある。

《石川徹》

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