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【介助犬フェスタ2020】初のオンライン開催、生活動作の補助だけでなく心のケアも行う介助犬

日常生活をサポートする「介助犬」
  • 日常生活をサポートする「介助犬」
  • 今年はオンラインで開催
  • ドアを開ける「ラルフ」
  • ドアを閉める「ラルフ」
  • 移動のサポートも介助犬の仕事
  • 靴を履く、脱がすサポートも介助犬が行う
  • 靴下を手早く脱がす
  • 脱がした靴下は選択かごに

社会福祉法人「日本介助犬協会」(本部:神奈川県横浜市、訓練センター:愛知県長久手市)が主催する「介助犬フェスタ2020」が5月23日に開催された。

2004年に設立された同協会は、手脚の不自由な方の生活をサポートする「介助犬」の育成、提供と継続的なサポートを行っている。毎年5月に「愛・地球博記念公園」(愛知県)で開催している本イベントだが、10回目を迎えた今回は新型コロナウイルス感染防止の観点からYouTubeでのオンライン・ライブ開催となった。

2002年に「補助犬法」が施行

2002年、身体障がい者の自立と社会参加促進への寄与を目的に、「身体障害者補助犬法(補助犬法)」が施行された。同法によって、病院、飲食店、ホテルやスーパーマーケットなど不特定多数が利用する施設や交通機関では、「補助犬」の同伴を拒んではならないことが定められている。

この補助犬には、よく知られた盲導犬のほか、聴導犬と介助犬が含まれる。現在日本では941頭の盲導犬が活躍しているが、介助犬は61頭と聴導犬の67頭と比べても頭数が少ない。そこで同協会では、フェスタのような活動を通した認知向上にも努めている。

日常生活をサポートする介助犬

介助犬は、車いすや杖を使って外出する場合だけでなく、家の中での日常生活においても手脚の不自由な方のサポートを行う。介助犬フェスタでは、そうした「仕事」の様子が介助犬・ラルフによるデモンストレーションで紹介された。

まず引き出しを開け、中から自身が着用する「介助犬」と書かれたケープを取り出して使用者に渡す。引き出しを閉める動作まで訓練されているところは、危険防止の観点からもきめ細やかさを感じた。出かける際には鍵の解除からドアの開け閉めまで、鼻を使って器用にこなす。また、落ちた物を拾う作業では小銭が使用されていたが、厚みがなく咥えるのが難しいはずの硬貨を平らな床から難なく拾い上げていたのが印象的だった。

外からの帰宅後は、まず使用者の足を上げさせて靴と靴下を脱がせ、靴下を洗濯かごに入れるまでをスムーズにこなしていた。その他、冷蔵庫を開けて飲み物を取ってきたリ、置き場所の不明な携帯電話を探して使用者に渡したりといった仕事も紹介された。介助犬は、基本的に「主要8動作」で使用者をサポートしているが、その他ニーズにあわせた様々な動作をすることも可能だそうだ。

ドアを開ける「ラルフ」

介助犬の「主要8動作」

・落ちた物を拾う
・指示した物を持ってくる
・緊急連絡手段の確保
・ドアの開閉
・衣服の脱衣補助
・車いすの牽引
・起立・歩行介助
・スイッチ操作

使用者と社会の橋渡しにも努める介助犬

さらに、介助犬にはもう1つ大きな役割があるそうだ。同協会によれば、「介助犬と暮らすことによって、一人で外出することの不安が軽減された、家族が安心して外出できるようになった、近所の人との会話が増えた」といった声が聞かれるという。つまり、介助犬は使用者と社会とをつなぐ橋渡しにも大きな貢献を果たしているのだ。

携帯電話を探して届ける仕事はおてのもの

犬の「寄り添う力」で病気の治療にも貢献

また日本介助犬協会は、聖マリアンナ医科大学病院と共同で「動物介在活動・動物介在療法」にも取り組んでいる。これは、犬の「人と触れ合い癒す」という特技を治療に活かす試みとのことだ。患者に対し、散歩を通して外に出るきっかけを作ったり、ベッドで体温を感じながら撫でることで心に寄り添ったり、リハビリを促したり、時には手術室で麻酔によって眠るまでそばで不安を和らげることもあるそうだ。

このように機能面だけでなく精神的な仕事もこなし、きめ細かいサポートを提供してくれる介助犬たち。私たち人間は、様々な形で犬たちの「寄り添う力」に助けられていることに改めて気付かされる介助犬フェスタ2020だった。なお、同イベントの録画ビデオは、日本介助犬協会のYouTubeチャンネルで観ることができる。

《石川徹》

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