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【犬がなりやすい病気 】食物アレルギー編…あらゆる犬種、性別、年齢で発症しうる

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どんな病気?

食物アレルギーとは、食物中の成分(主に蛋白)に対する過剰な免疫反応が原因で、口から摂取する食物に対する免疫異常と皮膚からの免疫異常の2つの要因がある。好発犬種や性差はなく、発症年齢は1歳以下が多いが、飼い主がどの時点で気づくかにもよるので、あらゆる年齢から発症しうると考えて良い。犬においては保険請求疾患の8位に入っている比較的多い疾患である。

食物アレルギーには2種類のタイプがあり、IgE依存性の1型とIgE非依存性の4型がある。4型のほうが多いと言われているが、1型と4型を併発していることも少なくない。症状としては、急性は脱毛、淡い発赤、引っかき傷、膨疹が認められることが多く、慢性期は脱毛や急性症状の悪化による色素沈着、肥厚、蘚苔化が認められる。かゆみの特徴は、左右対称性に昼夜問わず痒がることである。犬アトピー性皮膚炎と症状が似ているが、季節性がなく通年持続するのが食物アレルギーの特徴だ。

診断は時間を要する検査が必要で、まず明らかな季節性が認められるなら、犬アトピー皮膚炎を診断するための皮内反応や血清特異的IgE検査を行い、環境アレルゲンを特定する。季節性があるかはっきりしないのであれば、季節性のない環境アレルゲンに対するアトピー性皮膚炎や食物アレルギーを疑う。

食物アレルギーの犬の3割がアトピー性皮膚炎を併発していて、その場合は1歳未満や6歳以上の発症が多い。犬では長期的に同じ食事を与えていたフードに対しても食物アレルギーを発症することがあるので、必ずしも食事変更が引き金になるわけではない。

病変の分布は局在~全身まで様々で、特に頭部(目周り、耳)、肢端、腋窩、肛門周囲、腰背部(特に多い)の発症が特徴的である。時に外耳道炎だけに限局していることもある。また、皮膚以外の消化器症状の併発が10-15%で見られる。

診断にあたっては、食物アレルギーを疑う前にかゆみを伴うその他の疾患(寄生虫性疾患、感染症、腫瘍)を否定することは必須。1型食物アレルギー検査はIgE検査や皮内テスト、4型食物アレルギー検査はリンパ球反応検査やパッチテストがある。

IgE検査は再現性が低く、同じ検体を複数の検査会社に出したときに異なる結果が出ることもあるため積極的に行われないことも多い。皮内テストは偽陽性や偽陰性が多く、リンパ球反応試験は精度は高いが高い技術が必要になるのと、シクロスポリンやステロイドの影響を受けるため投薬治療開始前に行う必要がある。

パッチテストは正確で特異度が高いためある程度の有用性はあるが、広範囲の毛刈りが必要で、頻繁に通院が必要になるデメリットも。このような検査を行わない場合は除去食試験→負荷試験の流れで診断的治療を行う。

除去食により臨床症状が改善するかを確認した後、以前のフードやアレルギー成分を負荷して兆候が再発するかを見るが、時間を要するので飼い主の根気強さが必要になる。また、除去食試験の際は、おやつはもちろんのこと、ワクチンやフィラリア予防薬、サプリメント等にもアレルギーの原因となるタンパクが含まれているので禁止である。

除去食試験は新奇タンパク食(鹿、うさぎ、ラム、カモ、カンガルー)、加水分解タンパク食、ホームメイド食を順番に試していく。それぞれ反応するまでにかかる時間は3-10週間と様々なので長期的な治療となるが犬では90%以上の症例が除去食試験8週間+負荷試験2週間で診断できる。

推奨フードは個体により様々なので、どのフードから始めるかは今までの食事歴から獣医師が判断する。食物アレルギー用フードでも改善が見られなければ、食物アレルギーの可能性は低く、経口必須脂肪酸が含まれるアトピー性皮膚炎用のフードを検討する。経口必須脂肪酸は、アトピー性皮膚炎で特徴の表皮の異常構造の改善や掻痒の改善に効果的である。

かかってしまったら?

上記の過程でアレルギーの元となる食品が特定できれば治療方針は決まり、体がアレルギー反応を起こさないフードを継続して食べていくだけである。かゆみの元になる食事を中止することで症状は改善する。

予防法は?

体質や遺伝による疾患なので予防法はないが早期発見が重要となる。

《M.M》

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