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愛犬への「混合ワクチン」接種、慎重に考えてみませんか? vol.1…これまでのまとめ

ひめりんご
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  • 抗体検査で免疫力を確認の上、混合ワクチンの要否を判断
  • 平蔵は今年も混合ワクチンは不要
  • ひめりんごは抗体値の低下が判明

先日、筆者の愛犬に混合ワクチンによる副反応(以下、一般的な表現として「副作用」とします)が出てしまいました。嘔吐と下痢、それから一晩中真っ赤な背中を掻きむしる事態に陥りました。翌日にはほぼ回復しましたが、当日は心配でほとんど寝られませんでした。

朝起きた時には、床にピンポン玉サイズの抜け毛がふたかたまり…。ワクチンにリスクがあることは知っていましたが、実際に家族に起きてしまうと生きた心地がしませんでした。

REANIMALでは、主に犬を対象とした「混合ワクチン」と狂犬病の予防接種について、これまで2シリーズ合計7回にわたってご紹介しました。病気を未然に防いでくれる重要なワクチンですが、話題の新型コロナウイルス用ワクチンでも心配されているように、100%安全なものは無いようです。

そこで、エビデンス(科学的根拠)を含め、改めて混合ワクチンのメリットとデメリットについて4回シリーズにまとめてみました。最終回には、「一飼い主」としてのご提案をさせていただきます。大切な家族である愛犬が健康な毎日を過ごせるよう、少しでもお役に立てればと思います。

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はじめに:過去の特集まとめ

詳しくはそれぞれの記事をご参照頂きたいと思いますが、犬に関しては狂犬病予防接種、コアワクチンおよびノンコアワクチンについて、主に以下のようにご紹介してきました。

■狂犬病ワクチン:法的義務と再検証の提言

狂犬病の予防注射に関しては、法律で定められた飼い主の義務であることに改めて触れました。同時に、1年ごとに決められている接種間隔の再検討や抗体検査による接種免除の検討に関し、「狂犬病予防法」の見直しについての提言も行いました。70年前(1950年)に施行された法律ですから、その間に獣医療や薬の研究もかなり進んだのではないかなと感じています。

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■コアワクチン:死につながる病気を防ぐため世界中で接種を推奨

いわゆる「混合ワクチン」に関しては、防ぐことができる病気や「どの位もつのか」(=接種後の免疫持続期間:DOI)と合わせ、副作用のリスクについてもご紹介しました。感染力が強く、発症すると命に関わる病気を引き起こすウイルスから守るものを「コアワクチン」と呼びます。

犬の場合、現在ではコアワクチン全てのDOIが基本的には3年を超えるというエビデンスが各国の専門家から示されています。とはいえ、ワクチンに対する反応には個体差があり、免疫が3年続かないケースもあり得るため1年に1度の「抗体検査」(=免疫があるかどうかのテスト)でワクチン接種の要否を判断することをお勧めしました。

■ノンコアワクチン:獣医さんとの相談で要否とタイミングを

それ以外の病気を予防する「ノンコアワクチン」は、居住地域や環境、飼い主さんのライフスタイルなどにより感染リスクが異なることをご紹介しました。また、ノンコアに分類されるワクチンの場合はDOIがまちまちで、中には1年に満たないものもあります。したがって、接種の要否と共にタイミングについても、かかりつけの獣医さんと充分に相談して判断することをご提案しました。

■リンク集

犬の「混合ワクチン」は年に1回で大丈夫? vol.1…目的と免疫持続期間について

犬の「混合ワクチン」は年に1回で大丈夫? vol.2…副作用のリスクと安全な接種

猫にワクチン接種は必要? ライフスタイルに応じて獣医師と相談を

続・犬猫のワクチン接種について vol.1…犬のコアワクチン、「1年に1回」の必要はない

続・犬猫のワクチン接種について vol.2…猫は他の猫との接触機会を考慮した接種を

続・犬猫のワクチン接種について vol.3…子犬・子猫の場合

狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%、予防接種は飼い主の義務

続・犬猫のワクチン接種について vol.4…狂犬病予防法の見直しは不要か?

筆者の場合

筆者の愛犬、「ひめりんご」(6歳のチワワとトイプードルMIX)と「平蔵」(4歳のトイプードル)も1年に一度、抗体検査を受けていることをご紹介しました。ジステンパーウイルス、アデノウイルスおよびパルボウイルスそれぞれに対する抗体が充分あるかどうかで、混合ワクチン接種の要否を判断しています。なお、ノンコアワクチンに関しては、獣医さんと充分に話し合った上で別途接種はしていません。

抗体検査で免疫力を確認の上、混合ワクチンの要否を判断抗体検査で免疫力を確認の上、混合ワクチンの要否を判断

平蔵は4年間接種せずに抗体をキープ

さて、本題に戻ります。当家の「ひめりんご」と「平蔵」は、定期的にかかりつけの獣医さんに健康チェックをして頂いています。冬はクリスマスが近づくと健康診断のタイミングなので、その時に抗体検査も合わせてお願いしています。平蔵は今回も抗体値が充分だったため、混合ワクチンの接種は必要ありませんでした。生後3ヶ月の12月に最後の注射を打って基礎免疫がついて以来、これで丸4年ワクチン接種は行っていませんが免疫はキープされています。

平蔵は今年も混合ワクチンは不要平蔵は今年も混合ワクチンは不要

ひめりんごは3年経過して抗体値が低下

ひめりんごも過去2回は問題無かったのですが、今年はジステンパーウイルスとアデノウイルスに対する抗体値が不充分という結果が出てしまいました。前回の混合ワクチン接種からは3年経っています。エビデンスに基づいたDOIからも納得できるため、かかりつけの獣医さんとも十分に話し合った上で一般的に使われている大手製薬メーカーの6種混合ワクチンを注射しました。

ひめりんごは抗体値の低下が判明ひめりんごは抗体値の低下が判明

そして、この後生きた心地がしない事件が起きるのです…。

《石川徹》

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