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【ズボラ女子とわがままウサギ vol.13】ペットの命を左右する、飼い主の判断の重大さ

ホーランドロップイヤーのけまり
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私と「けまり」、両方のストレスが極限状態であったこともあり、自宅での点滴を諦めた私は、毎日朝一番に近所の動物病院で点滴をしてもらい、週に1度メインで見てもらっている少し遠い病院へ通うという日々を、2か月ほど続けることになりました。

2つの病院に同時に通う難しさ

最初に通っていた動物病院の先生が諦めた瀕死の状態から、その原因を突き止めてけまりを助けてくれたことで、私にとって主治医に決めた先生への信頼度の高さはかなりのものでした。

けまりがヒューヒュー音を立てて苦しそうな呼吸をし始めた時は、先生の指示に従って酸素スプレーを吸わせると、明らかに楽になる様子を見ることができたし、調子が良さそうにしている頻度も増えるなど、着実に快方に向かっているように見えました。そして約2か月が経過した頃に、レントゲンで心臓の肥大も収まっていることが確認でき、私の期待はさらに高まっていきます。

しかし、一定の状態までの回復は見られたものの、心臓が治ってもヒューヒューと苦しそうな呼吸は無くならなかった上に、食欲やうんちの大きさも安定しません。そんな中、点滴の回数も2日に1回となったのですが、その度に点滴の病院の先生とも症状についての会話をすることになります。そうなると、どうしても点滴の先生からもアドバイスを受けることになるのですが、その2人の先生の意見が全く違ったのです。

私も、最初のうちは信頼する主治医の先生が考えた治療法で進めていれば間違いはないと、点滴で通っている方の先生の意見は強い気持ちで聞き流していたのですが、ここまで病状が回復しないとなると、「こっちの先生の方が合っているのかも?」と、気持ちが揺らいでしまいます。

そして、新たな原因が見つかるかもしれないと考え、点滴の方の先生に言われるがまま検査を受けてしまったのです。そうすると、主治医の処方したこの薬が必要ないだとか、こっちの薬を飲ませた方がいいだとか、新たなアドバイスがどんどん出てきてしまい、私はどちらの指示に従えばいいのか分からなくなってしまいました。

少しでも長生きをしてほしいと願うあまり…

主治医の先生の指示通り治療を進めてきたけど、けまりの体調に一定以上の改善が見られないという事実や、具合が悪そうなけまりを少しでも楽にしてあげたいという思いなどから、「このアドバイスを聞いた方がいいのでは?」という気持ちが、日に日に高まっていきます。そして遂に、点滴の方の先生の言う通り、主治医が処方してくれた薬のうち1種類を無断で中止してしまったのです。その頃には、主治医の先生がいる病院に通う頻度は、月1度となっていました。

次の診療日。やはり体調が安定しないけまりの血液検査をすることになり、腎臓系の数値があまりよくないことや、循環が上手くいっていないことなどを知らされます。そして、勝手に中止していた薬の分量を倍にしようと言われたのです。「これには血管を拡張する薬も含まれているので、分量を倍にして少しでも循環が良くなれば…」と、主治医の先生は言いました。

私はこの言葉を聞いて、必要な薬を中止してしまっていたことに気が付きます。1つ目の病院で命を諦められたけまりが、セカンドオピニオンを受けて延命され、病院選びの大切さを知りましたが、点滴で別の病院に通ったことで、同時に2つの病院に通うことの難しさを思い知らされることになったのです。

結局、最後は主治医に決めた先生の指示に従うことを決断するのですが、体調が安定しないけまりにとっては、私の迷いや判断ミスは命取りになりかねません。けまりの闘病生活が始まってからの私は、少しでも長生きをしてほしいと願う気持ちで焦り、空回りし続けていた気がします。

私が、主治医を信じると決めた理由

私はこれまで、「けだま」と「けまり」という2羽のウサギと一緒に暮らしてきました。そして、2羽あわせて約10年という長い期間の中で、何度か引っ越しをしたこともあり、いくつもの動物病院に通っています。

そうすることで、少しずつ分かってきたこと。それは、やはりエキゾチックアニマル専門病院と犬猫メインでウサギもみられますというスタンスの動物病院では、ウサギについての知識に圧倒的な差があることでした。それは、今回主治医に決めた専門病院の話だけではなく、これまでも何度かウサギメインの専門病院に通ってきましたが、私が伝えた症状に対する回答が、一般の動物病院と専門の動物病院では、全く違ったのです。

例えば、具合が悪くなってからのけまりは、ごはんを食べる時、目玉をひん剥いたような少し怖い表情をするようになりました。それを伝えた時に、最初の病院ではウサギの目の構造についての説明を受け、そういうこともあるという回答だったのですが、主治医の先生はその話を聞くと表情を一変させてすぐにレントゲンを撮り、心肥大を見つけてくれました。

うっ滞のような症状で最初の病院に通い始めましたが、いつもの処置をして改善が見られない時点で、新たな可能性を考えようとしてくれなかった一般動物病院の先生と、すぐに別の要因を見つけてくれた専門動物病院の先生。どちらも話していると、動物好きの優しい先生という点に違いはありませんでした。

ただ知識量の違いで、助かる命もあるということを今回強く実感し、エキゾチックアニマルの専門家である主治医の先生を信じることに決めたのです。これが、長年ウサギと生活してきた私の“病院を選ぶ基準”となっています。ちなみに一般の動物病院より、専門の動物病院の方が、診察料も平均的に少し高めの印象なので、それも頭の片隅に置いておいた方がいいかもしれません。

先川知香:モータージャーナリストとして全国各地を駆け回る、乗り物が大好きな干物系女子。ウサギの「けだま」と出会ったことをきっかけにウサギの魅力に夢中になり、現在は3代目愛ウサギの「ゴジラ」と同居中。

《先川知香》

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