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放置はやめよう! 猫の鼻血、原因や対策は?

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人間では転んだり緊張すると鼻血が出てしまう、というのはよくあることですよね。では猫ちゃん達はどうでしょうか? 本来猫ちゃん達は健康であれば鼻血を出すことはありません。人間と同じ感覚で様子を見てしまうと、大きな病気を見過ごしてしまうかも…。そこで今回は猫ちゃんが鼻血を出す原因や対策方法についてまとめてみました。

猫の鼻の働きとは?

猫の鼻はとてもたくさんの仕事を担っています。嗅覚は人間の数万倍から数十万倍にもなると言われ危険なものか安全なものか、臭いで識別できる能力を持っています。元々は肉食の動物ですから腐敗が進んでいないか、食べても安全なものか、などを嗅覚で判断する必要があったためです。

その他にも呼吸機能、温度感知、気圧や天気を察知することも可能です。体の重要な器官であり異常は早期に解決してあげる必要があります。

原因は? 大きな病気が隠れていることも

猫が鼻血を出す原因は様々ですが、基本的に問題が起きているからこその症状と考えられます。代表的な原因は以下の通りです。

・鼻炎
鼻の粘膜が炎症を起こすのが鼻炎です。感染症が起因となることも多く、症状が進行すると鼻の管が詰まり涙が出てくることもあります。鼻炎を引き起こすウイルスには様々な種類がありますが「猫カリシウイルス」や「猫ヘルペスウイルス」が多く聞かれるウイルスとなります。

鼻が詰まることで嗅覚落ちるため食欲が落ちることも…。治療としては抗生剤や抗菌剤の内服薬のほか、点鼻薬などで改善を図ります。また上記の感染症は混合ワクチンで予防することも可能です。免疫力が弱い子猫やシニア猫は特に注意してあげましょう!

・腫瘍
発生頻度は多くありませんが鼻の中(鼻腔)にできものができることで粘膜を傷つけたり、炎症が起き出血していることもあります。猫の鼻腔内腫瘍は「リンパ腫」といわれる悪性腫瘍であることが多く、発見した時点で抗がん剤などの大掛かりな治療が必要となります。切除することが難しい場所でもあり、進行すると癒着、浸食を繰り返し顔の形が変わってしまうケースも少なくありません。

・歯槽膿漏
意外なことに、口のトラブルが原因で鼻水や鼻血が出ることもあります。猫の歯肉炎や歯槽膿漏はとても身近な病気で、成猫の80%が歯肉炎を発症していると言われています*。この場合、歯の根元が炎症を起こし、たまった膿が鼻腔へと流れ出してしまうため、鼻血等、鼻の症状が出てしまうようです。治療としては抗生剤の内服薬や注射薬のほか、麻酔下での抜歯処置が最も効果が高く確実とされています。

鼻血が出たときはすぐに受診しよう!

鼻血が出たときは様子を見ずに速やかに動物病院を受診しましょう。放置してしまうと原因となっている病気が進行してしまう可能性があります。また上記とは別に、白血病や猫エイズなど免疫が落ちてしまう緊急性の高い疾患が隠れていることもありますので本人の食欲や元気があったとしても診察を受けておく方が安心です。

鼻血が慢性的に出てしまう時の対応方法

慢性の鼻炎や、治療ができない腫瘍だった場合、上手にケアを行いながら生活していくしかありません。本人の意思とは関係なく出てきてしまうため自宅内や布製品が汚れてしまうことも。猫は鼻で呼吸をしていますから間違っても鼻栓などはしないようにしましょう。

自宅でできるケアとしてはぬるま湯にひたしたガーゼやコットンで定期的にふき取る、洗い変え可能なラグに変えるなど。血液がついてしまった布製品は水洗いした後、漂白系洗剤につけ置きしておくと綺麗になります! また嗅覚が落ち食欲が出ない場合はウェットフードを少し温めてあげると香りが立ち食いつきがよくなることもあります。

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もし鼻から出血があった場合は様子を見ずに受診なさってくださいね。早期にケアを始めることで何より本人が楽になることもあります。人間と同様の感覚ではなく、猫ちゃんの鼻血はトラブルのサインと覚えておきましょう!

*小動物歯科診療の歴史ならびに現状と展望 II(藤田桂一、日本獣医師会雑誌 第58巻 第5号、2005)

《吉田つぐみ》

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