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愛犬の認知症、どうやって対応したらいい?…前編

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長い時間を共に過ごしてきた愛犬。子犬の時から一緒の時間を過ごし、かけがえのない存在になっていることかと思います。切ないことにワンちゃん達は人間の何倍も早く年齢を重ねていきます。小型犬の一年間は、人間に換算すると約4年間にもあたります。シニア期からハイシニア期にかけて、様々な体の変化が現れ戸惑うこともあるでしょう。そんな変化の中で特に注意したいのが「認知症」(認知機能不全症)です。今回はワンちゃんの認知症について症状や予防、治療法などを、動物看護師の筆者が前後編にわたってお届けします。

犬の認知症とは?

犬の認知症も仕組みは人間と同様です。一度は正常に発達した脳の認知機能が、加齢や脳のトラブルなどにより正常に機能しなくなることで発症します。現代はペットを取り巻く環境も進歩しており、高品質な食事や適切な住環境、予防医療などが充実しているためペット達も高齢化が進み長寿の犬が増えています。そのため、認知症を発症する犬も年々増えているのが現状です。

発症しやすい年齢、犬種は?

これまでの調査では、11歳から発症することが多く、13歳以降は頭数が急増すると言われています。ただ犬の認知症は現在も解明されていない点が多く、目下研究が進められています。また脳疾患などを抱えている犬は早期に発症することがあるようです。

動物病院で勤務していると、認知症が見られるワンちゃんは柴犬や日本犬系MIXの子が非常に多いように感じています。この場合、体の大きさや声の大きさがあるため一層認知症の症状に悩んでおられるケースがほとんどです。ただしどのような犬種であっても認知症を発症する可能性はゼロではなく、プードルやチワワでも同様の症状を認めることが多々あります。

初期症状は?

犬の認知症もいきなり症状が現れるというわけではなく、少しずつ進行していきます。初期の症状としてよく見られるのはトイレの失敗、散歩コースや自宅内の家具配置がわからなくなる、食事をしたにも関わらず欲しがっている、歩き方に覇気がない、名前を呼んでも反応しない、睡眠サイクルが乱れ始める、などがあげられます。このような症状が出てきた場合には、一度獣医師のチェックを受けてみましょう。

予防策はあるの?

できることなら認知症にはならず穏やかなシニアライフを送ってほしいですよね。犬の認知症にはしつけなどは一切関係ありません。どんなにしっかりしつけができていた子でも発症する可能性はあります。では予防する策はないのでしょうか? 現時点では脳の活性が有効とされています。お散歩は日によってコースを変える、宝探しゲームを行うなど、ちょっぴりいつもと違うことを生活に取り入れてみましょう。また人間同様DHAやオメガ3脂肪酸などのサプリメントも脳の機能保護に役立つと言われています。シニア期に入ったらサプリメントの服用を獣医師に相談してみるのもいいかもしれません。

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かわいい愛犬がまるで今までと違う子になってしまったようで、寂しく辛い思いをする飼い主さんもいらっしゃると思います。ですがワンちゃんの認知症は誰が悪いわけでもありません。そこにいるのは紛れもなく可愛がっていた愛犬であり、愛犬もどこかでは飼い主さんのことをわかってくれているでしょう。それまでの生活習慣や愛犬の癖、好み、性格などを、誰よりも熟知している飼い主さんには、動物病院のスタッフも敵いません。とはいえ一人で何とかしようとすると、飼い主さんの心や体が壊れてしまいます。愛犬に認知症の症状が出始めたときは一人で頑張らず、動物病院のスタッフや家族と連携しサポートしていきましょう。後編では具体的な症状やその対策についてご紹介します。

《吉田つぐみ》

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