動物のリアルを伝えるWebメディア

需要が高まるペット用車いす…ユニークな機構のランダムとワンコロ【インターペット2022】

ペット用車いす「LANDAMCART(ランダムカート)」
  • ペット用車いす「LANDAMCART(ランダムカート)」
  • 上方に取り付けられた回転するバーにより体を横に曲げられる
  • バーの長さ調整はシンプル
  • アルミパイプと樹脂で軽量化にも配慮
  • 中型犬用は体重20kgまで対応
  • 小型犬用は重さ0.75kg
  • ステンレス加工のノウハウを基に犬用車いすを開発した旭工業
  • 角度が6段階に調整できる可変式のバー

インターペット2022では、ペットの医療に関連するブースも見られた。犬や猫が家族の一員として見られるようになり、健康管理に関する飼い主のニーズが高まっていることの表れだろう。

「ランダムカート」は新しい構造の車いす

埼玉県のランダムは、新しい構造のペット用車いす「LANDAMCART(ランダムカート)」を開発し2年前から販売している。一般的な車いすは犬の両脇にパイプが通る構造になっているため、体を横方向に曲げられない。例えば体長60cmの犬の場合、最小回転半径は1.2mほどになる計算だ。日本の住宅の場合、廊下の幅は1mに満たないことが多く向きを変えることが難しい。

ランダムカートは両側のバーをなくし、代わりに背中の上方に回転するバーを設置した。腰を支点にした回転軸で体を横に曲げられるため、小回りが可能で、家の中でも自由に動くことができる。

上方に取り付けられた回転するバーにより体を横に曲げられる上方に取り付けられた回転するバーにより体を横に曲げられる

展示されていた小型犬用モデルは、体重2kgから10kgまで対応している。そのほか、中型犬用と、ゴールデンレトリーバーやジャーマンシェパードなども使える大型犬用まで3種類が用意されている。同社によれば、今回のインターペットでは2kg未満の超小型犬の飼い主からの要望が多く聞かれたそうだ。

代表取締役の大島康彰氏は、輸送機器メーカーでクルマやオートバイの設計に携わった後、大学で工業デザインの教鞭をとった研究者だ。今後は前脚が不自由な犬や脚を切断した犬、さらに猫用の車いすの開発も手掛けたいと話す。

受注後にサイズ調整をしてからの出荷となるため、手元に届くまでには数日を要する。価格は7万円(税込、小型犬用)。

アルミパイプと樹脂で軽量化にも配慮アルミパイプと樹脂で軽量化にも配慮

“伏せ”ができる車いす「WANCORO」

東京都荒川区で精密板金やステンレス加工を行う旭工業も、今年の夏に犬用車いす「WANCORO(ワンコロ)」の発売を予定している。動物病院などからの依頼もあり、本業で培ったノウハウを生かして開発を行ったという。飼い主へのヒアリングを行ったところ、通常の車いすは愛犬が伏せて休みたい時に不便だとの声が多かったそうだ。

ステンレス加工のノウハウを基に犬用車いすを開発した旭工業ステンレス加工のノウハウを基に犬用車いすを開発した旭工業

ワンコロの特徴は、高さが簡単に調整できるよう考えられた可変式のバーにある。車輪を取り付けた脚の部分の角度が6段階に、長さが3段階に変えられる。このバーを体と並行になる角度まで広げれば、車いすを装着したままで“伏せ”が可能だ。走る時は高く、休む時は低く調整でき、愛犬にも飼い主にも配慮した機構になっている。

角度が6段階に調整できる可変式のバー角度が6段階に調整できる可変式のバー

強化プラスチック製のメインフレームに装着されている生地は簡単に取り外して洗濯できる。また、花柄や迷彩色などのバリエーションが用意されているので、好みに合わせた着替えも楽しめる。

要望の多い小型犬用から販売を開始するが、ニーズがあればより体の大きい犬にも対応したモデルを検討したいとのことだ。価格は、税込み4万5000円を予定している。

カバーの脱着は簡単カバーの脱着は簡単
《石川徹》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top