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国内の犬が新型コロナウイルス陽性と判明…健康状態に大きな問題はなし

国内の犬が新型コロナウイルス陽性と判明…健康状態に大きな問題はなし
  • 国内の犬が新型コロナウイルス陽性と判明…健康状態に大きな問題はなし

8月3日、PCR検査を受けた犬2頭が新型コロナウイルス陽性と確認されたことを、ペット保険などを手掛けるアニコムホールディングス(以下、アニコム)が発表した。

同社は今年の4月より、新型コロナウイルスに感染した飼い主からペットを無償で預かるサービスを行っている。これまでに犬29頭、猫12匹、ウサギ1羽を収容しそれぞれの個体に複数回のPCR検査を実施。そのすべてで陰性が確認されていた。

1頭は既に陰性に

今回陽性が確認された2頭は別の家庭で飼育されていたとのことだが、複数回のPCR検査の結果、陽性が確認され公表に至った。このうちの1頭は既に陰性に転じていると共に、もう1頭も含め健康状態に大きな問題は見られていないという。

今後は抗体検査を行い、新型コロナウイルスへの感染が成立したかどうかの判断をするとしている。これは、ウイルスが検体を採取した鼻孔等の部位に単に付着していた場合などもあり得るため、その確認の検査と考えられる。

従業員を含め、その他の感染は無し

アニコムの収容施設では、すべてのペットが陰性の確認までは隔離飼育されており、この2頭の犬以外は全て陰性とのことである。また従業員は防護服を着用するなど2次感染防御を徹底している。この2頭と接触した従業員に体調不良等はなく、PCR検査の結果も陰性だったという。

動物が陽性と確認された例

これまでREANIMALで報じてきたように(関連ニュース一覧)、すでに海外では動物の新型コロナウイルスへの感染例がある。香港やアメリカ、ヨーロッパなどでは感染した飼い主宅から保護された犬や猫などのペットがPCR検査で陽性とされた例が報告されている。

どのケースも無症状または軽微な症状のみにとどまっており、重症化したケースは知られていない。(香港でポメラニアン1頭が、アメリカでジャーマンシェパード1頭が死亡したが、それぞれ既往症によるものと考えられている。)

また、ニューヨークの動物園でライオンやトラなど大型ネコ科動物の感染が確認された例もあるが、いずれも咳などの軽微な呼吸器系症状のみで間もなく回復している。オランダではミンクへの感染が確認された。このケースでは、毛皮用に農場で養殖されていた個体の集団感染だったため、周辺住民等へのリスクを考えて殺処分の判断が下された。

ペットの感染を防ぐにはまず飼い主から

現在に至るまで、海外も含めてペットから人間への感染は報告されておらず、それを疑わせるエビデンス(科学的根拠)はない。これまで陽性とされたケースでは、ほとんどが感染した飼い主宅で飼われていたペットであり、人間からペットへの感染の可能性が高いとされている。そのため、飼い主自身の予防を徹底することがペットの感染を防ぐ最も効果的な方法でもあると言える。

今回の結果に過剰反応することなく、引き続き手洗いやソーシャルディスタンスを保った生活に努めるなど新型コロナウイルス感染防止対策を徹底するとともに、犬の散歩の際にはマスクの着用などをに注意したい。また、動物園のケースでも言われていたが、猫は犬よりも比較的新型コロナウイルスに感染しやすいとの説もあり、アメリカ獣医師会などは屋内での飼育を推奨している。

《石川徹》

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